リオデジャネイロ五輪体操女子金メダルストのシモーン・バイルス(24)らが15日、米上院司法委員会の公聴会で、米国体操協会の元チームドクター、ラリー・ナサル受刑者が多数の女子選手へ性的虐待を行った事件について涙の証言を行った。

 スポーツドクターだったナサル受刑者は米国体操協会(USAG)やミシガン州立大学に勤務していたときに長年にわたって女性選手らに、性的暴行を行っていた。裁判で有罪を認め、現在は終身刑に服している。この事件を巡っては、USAGは2015年7月、同受刑者に対する疑惑を米連邦捜査局(FBI)に通報したが、真剣に扱わなかったFBIは捜査怠慢で被害が拡大したなどと批判されていた。

 証言したバイルスは「ナサルを非難するだけでなく、彼の虐待を可能にしたシステム全体を非難する。USAGと米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、私たちを守る組織にもかかわらず、その職務を怠ったことが、直接的な原因となったのは間違いない」と時折涙を浮かべて訴え、FBIの捜査だけでなく、協会などの姿勢も問題視した。

 バイルスは東京五輪にも出場し、種目別平均台では銅メダルを獲得する一方で「メンタルヘルス」の問題を理由に女子団体決勝などを棄権していた。