体操ニッポンの新エース・橋本大輝(19=順大)がNHK杯(16日、長野・ビッグハット)で初優勝を飾り、東京五輪初出場が内定。団体メンバーとして日本を引っ張る覚悟もすでに備わっている。

 高校時代から〝練習の虫〟だった。市船橋高時代の恩師・神田真司総監督は「練習のしつこさは今まで見た選手で一番。できるまで何度もやり続ける。いい意味で諦めが悪い」と苦笑する。そんな誰もが認める練習量が飛んでもない〝神業〟を生んだ。

 この日、跳馬でヨネクラ(伸身カサマツ2回半ひねり)を狙った橋本は、器具に着手した瞬間に技の変更を決めたのだ。

「着手したときに無理だと思った。それと着地をまとめようって思いもあって、切り替えてました」

 選択したのは、ひねりが半分少ないロペス(伸身カサマツ2回ひねり)。もくろみ通り着地を決めたが、助走中にイメージしていた技を瞬時に切り替えるとは恐れ入る。水鳥寿思強化本部長(40)は「本当にコンマ何秒という世界。その中で切り替えられる選手はほとんどいないんじゃないか。個人的にはあり得ない。我々の理解を超えている感覚を習得していると思います」と舌を巻いた。

 周囲は驚愕するが、橋本は「それをずっと練習でやっていたので失敗する感じではなかった。日ごろからヨネクラを跳ぼうと思って着手して、ロペスにする練習をしていたので不安はなかったです」と涼しげに語る。

 まさしく練習のたまもの。東京五輪の舞台では、どんな技で我々を驚かせてくれるのか。