【体操】寺本明日香 団体総合57年ぶりのメダルへ〝宮原知子流〟パワーアップだ

2021年01月17日 10時00分

【写真左】ケガを乗り越えた寺本は昨年12月の全日本選手権で本格復帰。華麗な演技を見せた【写真右】本紙インタビューに笑顔で対応(ミキハウス提供)

【The インタビュー~本音を激白~(3)】覚悟はできている――。東京五輪の体操女子団体総合で57年ぶりのメダル獲得を狙う日本代表をけん引するのは寺本明日香(25=ミキハウス)だ。16歳でロンドン五輪を経験すると、20歳で出場したリオデジャネイロ五輪では団体総合4位入賞に貢献した。昨年2月には左アキレス腱を断裂し、一時は引退も考えたものの、見事に復活。25歳にして数々の修羅場を乗り越えてきた主将が連載「The インタビュー」第3回に登場。真夏の祭典に向けて胸中を激白した。

 明るい兆しが見えてきた。完全復帰まで半年から1年程度かかる左アキレス腱断裂の大ケガを乗り越えて、昨年9月の全日本シニア選手権(群馬・高崎アリーナ)で段違い平行棒に出場。昨年12月の全日本選手権(同)では個人総合で13位に沈んだが、4種目を無事にやり切った。

 寺本 本来であれば半年くらい前からしっかりと技の練習をしないと体操ってできないが、3~4か月で完成に近いところまで持っていけた。急いで頑張った部分は今後に生かされると思うので、この経験はよかったかな。また、全日本選手権で失敗してしまった(跳馬の)チュソビチナ(前転跳び前方伸身宙返り1回半ひねり)の着地をいつもの練習会場ではなくて、試合会場のマットでできたっていうのは自信になった。着地のときにケガをしないかなっていう不安や恐怖があった中、あまり完成できていないのにチュソビチナをかけれて、ケガをしない着地ができたっていうのは、よかったかなと思う。

 全日本選手権は悔しい結果に終わったものの、手応えはつかんだ。左アキレス腱の状態は問題なし。さらに、以前から痛みのあった右足首の状態も改善されたことで、心置きなく練習に取り組めるようになった。そんな中で、さらなるレベルアップを目指して、フィギュアスケート女子シングル平昌五輪代表、宮原知子(22=関大)の強化術を参考にしている。

 寺本 例えば、食生活。フィギュアも体重が軽い方が有利だけど、あまり軽すぎてもパワーが出ない。以前、宮原知子ちゃんの記事で「細くてきゃしゃでジャンプが低かったので、パワーをつけるために筋肉量を増やして体重を増やした。それでケガも少なくなってパワーも出た」っていう記事を見た。今までの時代は体重は「軽い方がいい」って言われていたが、筋肉をしっかりつけてケガをしにくい体づくりをしてっていうのが最近のやり方。細くてきゃしゃなのもいいけど、それよりもパワーをつけた海外選手みたいに太くても動けるような感じにしたい。

 長年チームの主将を務めてきた寺本は、演技だけでなく様々な面でチームをまとめてきた。東京五輪の団体出場枠をかけた2019年世界選手権(ドイツ・シュツットガルト)前には、赤、黒、白の3色のフェルトを器用に重ね合わせたお守りをチームメートに配ったことが話題に。メンバー入りが有力視される東京五輪でもお守りの作製を計画している。

 寺本 お守りを作るのは自分の趣味でやっている。自己満というか、そんな感じかな。でも、デザインを考えるのも好きだし(チームを)まとめようというよりは好きでやっている。五輪だから五輪のマークをつけてかわいい風って感じにしたい。世界選手権のときのお守りはちょっと難しくて、1か月くらいかかった。五輪のやつはちょっと(製作期間を)短くできるかもしれないかな。

 16年リオデジャネイロ五輪では、団体総合で4位。惜しくも表彰台に届かなかった。五輪の借りを五輪で返すために。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を不安視する声が耳に入ってくることがあっても、決意にブレはない。

 寺本 いろいろと東京五輪に関して不安がある方もいると思うが、やっぱり自分たちアスリートは五輪が開催される、されないにかかわらず、本当に自分の演技をやり続けて、特に体操は表現のスポーツなので、表現してみなさんを勇気づける、元気づけるっていうのがやっぱり一番の社会貢献だと…。たくさんの意見はあるが、五輪に出たいっていうのはもちろんだし、口にもするし、私だって死ぬ気で東京五輪は出たいって思っている。アスリートは目の前の目標に向かって自分を磨くだけなので、最終的には五輪でメダルを取るのが目標っていうつもりで日々のトレーニングを続けていきたい。

 21年になり、2度目の東京五輪・パラリンピックイヤーを迎えた。新型コロナウイルス禍で暗い影を落とす日本社会に希望の光を照らすべく、頼れるヒロインがメダル街道を突き進む。

 ☆てらもと・あすか 1995年11月19日生まれ。愛知県出身。公園の鉄棒で遊ぶことが好きだったため、小1で体操を始める。高1で日本代表に初選出されると、五輪に2度出場。2016年リオデジャネイロ大会では団体総合で4位入賞、個人総合8位入賞を果たした。昨年2月に左アキレス腱を断裂したが、約7か月間のリハビリを経て同9月の全日本シニア選手権で復帰。趣味は手芸で、周囲が目を細めるほどの技術を持つ。142センチ、37キロ。

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