体操の全日本選手権(群馬・高崎アリーナ)の女子決勝で13位に惨敗した寺本明日香(25=ミキハウス)は試合後の会見で「悔しい」と涙を流した。

 昨年2月、床運動の練習中に左アキレス腱を断裂。その瞬間に「もう終わった。東京五輪は無理」と引退を考えたものの、試合ができる状態まで復帰した。しかし、ケガ以前のような精彩を欠き、今大会はふがいない成績に終わった。

 試合後、寺本は「プレッシャーがないのに緊張した」「まだ自分の感覚と違う」と涙を流して反省の弁を口にしたが、その一方で「ひとつ安心したことがある」と明かした。それは、いつ何時も前向きなメンタルを持つ彼女らしい言葉だった。

「もし、悔しい思いをしなかったらどうしようって思っていたんです。誰もが言うんですけど、引退の時って緊張しないとか、悔しい思いにならないって」

 敗戦の悔しさがなくなったら勝負師としての潮時――。涙を流すほど悔しいと思えた自分に安心したという。失敗をパワーに変える彼女から、五輪本番まで目が離せない。