体操の全日本選手権(群馬・高崎アリーナ)は12日、女子決勝が行われ、昨年2月の左アキレス腱断裂から復活を目指す寺本明日香(25=ミキハウス)が、個人総合13位という結果に、人目をはばからず涙を流した。

 予選18位だった寺本は、決勝で屈辱の3班スタート。「まず最終班に残れないのが10年ぶり。なんか…こんなできないんだって思って」。試合後、涙ながらに振り返った通り、すでに序盤で心は折れていた。

 最初の種目・平均台では落下。「あれはアキレスとは関係なく、自分が元気でも多分、あの結果」。気持ちのスイッチが入らないまま、演技は進んだ。終わってみれば、昨年の覇者とは思えぬ結果となった。

「予選で悔しい結果になり、ショックを受けたまま決勝に進んだ。プレッシャーはないはずなのに、なんかなぜか緊張してしまって。現実を見たなって感じです」

 今年2月、床運動の練習中にアキレス腱を断裂。直後は「もう終わった。東京五輪は無理」と引退も考えたが、コロナ禍で東京五輪は延期。寺本自身も地獄からはい上がってここまで来たが、すぐに通用するほど甘くはなかった。

 周囲からは「アキレス腱を切って10か月で試合に戻って来るだけで奇跡」と励まされたというが「自分の中ではもうちょっとできると思っていたから悔しい」と、あふれる涙をぬぐった。

 だが、幾度の挫折から立ち上がった寺本は、この屈辱もプラスに転じさせようとしている。「悔しいけど、今で良かったというのもある。来年4月の全日本まで残り4か月。私には休む暇もない。ホントに今すぐ帰って練習したいくらい悔しい」

 涙を出し切った寺本は、最後に「絶対に戻ってきたいっていうか、絶対に戻ってくる! 死ぬ気で練習します」と言い切った。いつものように涙で苦難にピリオドを打ち、笑顔で前を向いた。