【体操全日本選手権】キング内村が「金ゾーン」入り超高得点「人生で初めて」と驚く

2020年12月11日 19時14分

勝手に体が動いたという内村(代表撮影)

 体操の五輪個人総合2連覇・内村航平(31=リンガーハット)が11日、全日本選手権(10日開幕、群馬・高崎アリーナ)男子予選の鉄棒で15・533点をマーク。近年の世界選手権同種目金メダルの得点をはるかに上回る高得点に「ちょっと出過ぎかな」と笑顔を見せた。

 演技を終えて会見場に現れたキングの表情は、すでに金色に輝いていた。「ここまで予選に合わせられたのは、人生でも初めてくらい。自分でも驚いています」

 右肩痛の影響で来年夏の東京五輪は鉄棒に専念することを決断。凡人の考えなら鉄棒一本に絞った調整となるだろうが、キングは違う。これまでオールラウンダーとして、6種目やる中で心身を仕上げてきた〝黄金のルーティン〟がある。この日もサブ会場で6種目の器具でアップ。最後に鉄棒で練習してから、本会場へ入った。

 そして鉄棒の前に立ち、鉄棒をつかんだ瞬間に〝スイッチ〟が入った。何度も世界の頂点に君臨した人間にしか分からない感覚。王者は「軽いゾーン」と表現した。

「久々に体験できた。自分で動かしているけど、勝手に動いているような」〝キングの舞い〟はゾーンに入ったまま続き、最後の着地で「現実に戻った」という。

 だが、100点満点で何点の演技か?の問いにキングは「65点です」と言い切った。その理由について「着地が止められていない」「練習と同じような感覚になってしまっている」「成功させたい気持ちが強い」「もうちょっと余裕をもって演技したい」――。完璧な演技をした直後とは思えぬほど、立て板に水のごとく反省の弁があふれてきた。

 昨年の全日本選手権で予選落ちした際は、失意の中で東京五輪出場について「夢物語」と形容した。ケガ、コロナ…さまざまな苦難を経て夢は確実に現実に近づいているが、ピークははるか先にある。