国際体操連盟(FIG)は12日、新型コロナウイルス禍以降初となる国内国際大会「Friendship and Salidarity competition~友情と絆の大会~」(11月8日、東京・国立代々木競技場)の発表会見を行った。

 今大会は来年夏の東京五輪への第一歩。緊急事態宣言中から大会準備が行われ、当初は8月末に広島で開催予定であったが、コロナの状況でずれ込んでようやく来月の開催に至った。FIGの渡辺守成会長(61)は「スポーツは人類にとって心身の活力の源。暗く沈んだ世界に光を当てよう思った」と語り、徹底したコロナ対策にこだわった。

 大会前後を第1~4期に分類し、選手の入国前後の行動を監視。ロシア、中国、米国の参加選手はそれぞれ自国で2週間の隔離と定期的なPCR検査を実施し、健康面で異常がないと確認された選手のみが入国できる。日本の選手も大会前は自宅と練習場の往復のみ。もちろん娯楽目的での外出、公共交通機関の利用も制限される。渡辺会長は「参加する選手たちは私の息子、娘。コロナにさらすわけにはいかない」と徹底的に守る対策を練ってきた。

 そのため今月下旬に開催する日本学生選手権(インカレ)は隔離時期の2週間と時期が重なるため、インカレ出場選手はもちろん、帯同するコーチも今回の国際大会には出場できない。日本からは五輪2連覇の内村航平(31=リンガーハット)、昨年の世界選手権代表の萱和磨(23=セントラルスポーツ)らが出場するが、女子エース・村上茉愛(24=日体クラブ)の名前がない。村上自身はインカレに出ないが、所属コーチがインカレに参加するため、前述のルールにひっかかるためだ。関係者によると、インカレと国際大会の両方に出場したい選手は多いが、特例は認めないという徹底ぶりだ。

 FIGは1881年に設立され、国際オリンピック委員会(IOC)よりも長い歴史を誇る。渡辺会長は「我々、体操人は体操はすべてのスポーツの見本。体操界が世界をリードしていく」との哲学を持っており、今回の大会も「すべての責任を私が負う」と強い意志で開催に踏み切った。

「誰かが先陣を切らないといけない。日本の扉、世界の扉が開かれることを願いたい」(渡辺会長)

 今大会の「メディカルガイドライン」はIOC、東京五輪パラリンピック組織委員会に提出されるため、成功すれば東京五輪へ向けたロールモデルとなる。