【体操】鉄棒に絞ったキング内村が打ち明けた「1、2%」のプライド

2020年07月29日 20時24分

 体操ニッポンの男子強化合宿が29日、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで行われ、五輪個人総合2連覇の内村航平(31=リンガーハット)がリモート取材に応じた。

 肩の故障もあって来年夏に延期した東京五輪には「鉄棒」に絞って挑戦することが明かされていたが、久々に代表メンバーと顔を合わせた内村は苦渋の日々をこう語った。

「僕の中で鉄棒に絞るという選択肢は肩を痛めてからずっとあったけど、6種目やらない自分は自分じゃない。なかなかプライドを捨てることができなかった」

 今年に入り、満身創痍で6種目の練習を重ねる中である仮説を立てた。「6種目やるから肩が痛いのではないか?」。それを実証するため、鉄棒に絞って練習する実験をしたところ、肩の具合はすごぶる良くなった。そして2月、鉄棒一本に絞る決断を下した。

「苦しい中でやるより痛みが少ない鉄棒の方が自分としても、僕をサポートしてくれる人のためにも、気持ち良く五輪に行けるんじゃないか。自分が一番輝ける方法がこれしか見つからなかった」

 とはいえ、レジェンドは誰よりもオールラウンダー(6種目)にこだわってきた。そう簡単に諦めるわけにはいかない。この取材の中でも揺れる心がたびたび発言に現れた。鉄棒一本の気持ちを語る一方で「6種目のこだわりは今でも捨て切れていない。あわよくばやりたい思いもある。可能性は低いですけど、まだ1%、2%はある。そこに転ぶ可能性があるかもしれない」と口にした。

 その1、2%とは何か?と問うと、いつもの柔和な笑みを浮かべて「まあ、ほぼないってことです。可能性があるなら、たぶん僕は20%か30%って言うと思うんですよ。1か2は僕の中では、もうないです」と説明した上で、こう続けた。

「1、2%っていうのは僕の気持ちですかね。やることは難しいけど、それくらいの気持ちはあるっていう。やっぱり簡単に諦めてはいないぞっていう気持ちの1、2%。実際にやるのは厳しいかなと思いますね」

 取材の最後、内村は「僕はこれだけは言いたいです」と切り出した。

「6種目を諦めたわけじゃない。鉄棒に絞ったことイコール、6種目と団体入りを諦めたというのは違うと思う。そこは伝えたいけど、自分の言葉では伝わらない…」

 鉄棒のスペシャリストとして、魂だけは団体とともに戦う。その決意と覚悟と〝1、2%のプライド〟を胸にキングは東京五輪へ向かう。