【体操】アキレス腱断裂の悪夢から復活へ 寺本明日香「さらに語るものができた」

2020年07月15日 13時07分

寺本明日香

 昨年2月に左アキレス腱を断裂した体操ニッポン女子の寺本明日香(24=ミキハウス)が15日、リモートで取材に応じ、ケガの瞬間を振り返りつつ来年夏の東京五輪への思いを口にした。

 五輪2大会(ロンドン、リオ)出場の寺本は、昨年10月の世界選手権(ドイツ)で日本女子団体のキャプテンとしてチームを牽引。東京五輪の女子団体出場枠を獲得し、好調を維持した中で人生最大の悪夢が襲った。

 床運動の練習中、バック転に入る動作で床を蹴った時にバチン! 腱が切れた瞬間、寺本は「自分が床を壊したと思った。痛みは全然なかった」と振り返る。

 だが、よく見ると床は壊れておらず、自分の左足のテーピングがほどけていた。

「もう終わったなって思った。もう東京五輪は無理だと思い、頭が痛くなりました」

 不思議と涙は出なかった。ショックを通り越し「諦めないと自分がおかしくなりそうで、切った瞬間に思ったのは、これから何をしよう?ってことでした」と、思考の〝回線〟を変えるしかなかった。

 当初は「引退」を決めていた。女子団体チームを共に支えてきた村上茉愛(23=日体クラブ)には体操人生を終える決意を込めてラインを送ったという。

 だが、翌日に手術を行うと徐々に心境が変化。すると村上が会いに来て「明日香だったら絶対にやめないと思ったから」と言い、色紙を手渡されたという。そこには「絶対に乗り越えられる」という熱い思いがつづられていた。戦友の粋なサプライズに「感動し過ぎて心が痛くなった」と話した。

 今後は9月22日の全日本シニア選手権(群馬・高崎アリーナ)、12月10日開幕の全日本選手権(同)で代表入りを狙う。東京五輪の延期が決まった際は「残念になる選手もいるので何とも言えませんが、無理しなくていい、治せるなって思いました」と確信。神様がチャンスを与えた。

 その一方で、開催が危ぶまれる状況を「もし開けれなくても自分が見せるところ、できるところはある。五輪がすべてではないと私は思います」と冷静に見つめている。

 かねて「人生を語る演技がしたい」と言い続けてきた寺本。最大のピンチを乗り越えたことで「さらに語るものができたと思う」と真っすぐ前を見つめる。

「やらない後悔よりやって後悔。やめた方が楽だと思ったけど、絶対に心が楽じゃないと思った。どんな結果でも最後までやる覚悟ができました」

 絶望から這い上がり、いざ復活ロードを歩む。