ロシアのドーピング不正問題 日本体操界トップの本音

2019年12月12日 16時30分

渡辺守成会長

 国家ぐるみでドーピング不正を行ったロシアが東京五輪など世界主要大会から4年間除外の厳罰処分を世界反ドーピング機関(WADA)に下された問題は、各方面に波紋を広げている。

 スポーツデータの分析を行う民間会社グレースノートはロシア選手が東京五輪に個人資格も満たせず出場できない場合、日本は金メダル3個を上積みして33個になると予測。不正に関与していない選手が個人資格で出場できたとしても「ロシア代表」を背負えないため団体戦のメダル争いに影響を及ぼしそうだ。

 そこで注目なのが体操男子団体と新体操。ともに日本はメダル有力で、ロシアが最大のライバルだ。特に体操男子団体は10月の世界選手権でロシア、中国に次ぐ銅メダルを獲得しており、仮にロシアが出場できなければ金メダルにグッと近づく。しかし、日本人唯一の国際競技団体のトップを張る国際体操連盟の渡辺守成会長(60)は「仮にそういう状況になって日本が勝ってうれしいだろうか。勝った方も喜べないのでは」と疑問視する。

「ルールに反した人は厳しく処分されるべき」という大前提は示しつつ「潔白を証明したクリーンな選手は個人だろうが団体だろうが守ってあげたい。団体チームを組むことまで阻みたくない」とし、個人資格で出場する選手が「ロシアからの五輪選手(OAR)」としてチーム戦に参加することを希望した。

 この思いの背景には1984年ロス五輪の記憶がある。旧ソ連をはじめ東側諸国が不参加の同大会で、日本は個人総合で具志堅幸司、鉄棒で森末慎二が金メダルを獲得したが「選手たちはずっと『強い東側の国が欠場したからだろ』って言われ続けてきた。その再現だけは避けたい」(同会長)。

 ロシアの各種目の出場資格については不透明な部分は多いが、日本が目指すのはあくまでロシアを破っての金メダル獲得だ。