体操の世界選手権(ドイツ・シュツットガルト)に出場した日本選手団が15日、成田空港に帰国した。

 今大会、五輪2連覇の内村航平(30=リンガーハット)、リオ五輪団体金メダルの白井健三(23=日体大大学院)を欠いた日本は男子団体の銅、萱和磨(22=セントラルスポーツ)の種目別平行棒の銅のメダル2個。エースの村上茉愛(23=日体大クラブ)が代表漏れした女子は東京五輪の団体枠を獲得したものの、メダルなしに終わった。そのため笑顔は少なく“凱旋”とは言い難い帰国となった。

 そんな中で存在感を発揮したのが「失敗しない男」の異名が定着した萱、そしてメンバー最年少の高校3年生・橋本大輝(18=市立船橋高)だ。全20種目をミスなしで通した萱は「ミスを出さないような演技ではなく、完璧な演技を常に目指していった結果、ミスがなかった。失敗を恐れて演技が縮こまらなかったのが良かったと思います」と自己分析。「失敗しない男」の異名について「あまり気にしない(笑い)。そう言われようが言われまいが僕は失敗したくない。でも、そう言ってくださる方がいるからには期待に応えたい」とコメント。来年の東京五輪へ向けて「跳馬でもう一つ上の技・ロペスを来年に間に合わせ、そこで(中国、ロシアの選手に)離されなければ個人のメダルも狙えると思った」と展望を語った。

 世界デビューとなった橋本は団体決勝の床で失敗して男泣き。「今大会で流した悔し涙を来年はうれし涙に変えられるように」と言い、来年へ向けて「最年少ですけど自分が一番頑張って、来年はエースとして戦えるようにしたい」と力強く語った。

 男子強化部長の水鳥寿思監督(39)は「金メダルが欲しかったけど、団体決勝で若い選手がしっかり演技できたこと、今年上げなきゃいけないDスコアをしっかり上げられたところは非常に成果があった」と一定の評価を下した。橋本について「思ったよりも芯の強さを感じた。あれだけ世界から評価され、僕の想像を超えていた」、萱には「日本のエースとしてミスをしないでやりきる強さ」と収穫のポイントを挙げた。

 その上で「質が求められている」と課題を挙げた水鳥監督は「これまで世界で活躍してきた内村選手、白井選手の存在感なしで戦って、改めて実感した。彼らにもしっかり戻ってきてもらいたいし、そのチャンスが十分あると感じた」と語った。

 来年の東京五輪の代表枠争いはこれからが本番。内村、白井の復活と、若手の台頭が“化学反応”を起こせば、金メダルはグッと近づく。