【体操】ドン底の内村を救った豪州パワー

2019年06月27日 16時30分

内村は佐藤コーチ(左)とともにリラックスした表情を見せた

 復活ロードの始まりは異国の地だった。体操で五輪個人総合2連覇のエース、内村航平(30=リンガーハット)が26日、4月の全日本選手権で予選落ちして以来、初めて練習を公開した。

 全日本では両肩痛の影響もあって2度の落下。世界選手権(10月、ドイツ・シュツットガルト)の代表からも漏れ「1年のすべてが終わった感じ」とうなだれた。周囲からは“限界説”もささやかれたが、内村は悲壮感はおろか「かなり大きな試練をもらったけど、越えられない壁を“いただいた”という感じ」と自信を口にするほど変貌していた。

 きっかけは2016年のプロ転向以来、二人三脚で歩んできた“親友”佐藤寛朗コーチ(30)のひと言だ。「オーストラリアに行きましょう」。全日本惨敗の直後、気持ちが乗らない内村は20年以上の付き合いがある1学年下の幼なじみに「どうせ日本にいても何もできないから」と提案された。最初は「意味がない」と断ったが「絶対にリフレッシュできる。外を走っても誰にも気づかれない」と説得され、5月中旬に日本を飛び立ち、NHK杯の期間までオーストラリアで過ごした。

 これが思いもよらぬ気分転換に。アップダウンがある坂をダッシュして汗をかき、佐藤コーチと食事をするうちに驚くほど前向きになれた。次にすべきことも明確になり「6種目100%ではやらない」との方針を決定した。あくまで狙いは個人総合だが「まずは肩に負担がかからない平行棒とつり輪以外の4種目でチームに貢献し、代表に入って東京五輪に行く」という青写真が完成した。かつては「夢物語」と形容した東京五輪について内村は「今はかなえられる夢」と言い、佐藤コーチも「1年後は進化した内村航平がいると思う」と明言。体操人生のクライマックスで、いよいよキングの逆襲が始まる。