体操Wエース東京五輪どうなる 「集大成」への険しい道に内村&村上は何を思う

2019年06月13日 16時30分

NHK杯を棄権した村上は悔しさで涙を流したが…

 体操ニッポンの男女エースはどこへ向かうのか。10月の世界選手権(ドイツ・シュツットガルト)の最終選考会を兼ねた全日本種目別選手権(22~23日、群馬・高崎アリーナ)が間近に迫る中、五輪男子個人総合2連覇の内村航平(30=リンガーハット)、昨年の世界選手権女子個人総合銀メダルの村上茉愛(22=日体大クラブ)が世界選手権の代表を外れる非常事態となっている。果たして「復活」はあるのか、絶望と希望がシンクロする2人の行く末を占った。

 誰がこんな状況を想像しただろう。日本を支えてきた男女の大黒柱の代表漏れは、ちょっとした“事件”となった。

 発端は4月の全日本選手権だ。一昨年まで10連覇の内村は大会前から抱えていたケガの不安が的中し、あん馬と平行棒で落下。最後の鉄棒では着地で両ヒザをつく信じられぬ姿をさらし、2005年以来の予選落ちを喫した。この時点で全日本とNHK杯(5月)の合計点上位3人の代表枠から脱落。種目別の鉄棒で残り2枠に入るわずかな希望があったが、予選に出場しないことになり、代表入りが消滅した。

 一方、女子エースの村上も内村の後を追うように姿を消した。全日本2位通過で臨んだNHK杯の試合直前、両仙腸関節症のため棄権。女子の世界選手権の代表はNHK杯上位4人、残り1人を「NHK杯12位以内」から選ぶ基準のため、ここで村上の代表選出は消滅。8日の日本体操協会の理事会で田中光女子強化本部長(46)は「東京五輪で団体枠を取るために村上選手が必要」と強く訴えたものの、特例は却下された。

 まさかの事態となった男女両エースだが、その現状と境遇は驚くほど似ている。代表入りが絶望となった際、内村は「1年がすべて今日で終わった感覚」とぼうぜん。村上もNHK杯を棄権した直後、涙ながらに「1年間、終わったなって感じ」とポツリ。くしくも敗戦の弁が重なった。

 今後は年末までの“空白の半年間”をどう過ごすかが最大の焦点となる。その先に東京五輪があるからだ。内村は「東京が(開催地に)決まらなかったら、たぶん現役を続けていない」と語っており、村上も「悔いなく東京五輪で体操人生を終えたいと思っている」と本紙に明言していた。

 互いに東京五輪を「集大成」と位置づけるだけに、ドン底から這い上がる姿も同じ。内村は全日本惨敗直後に「東京五輪は夢物語」と吐き捨てたが、最後は「こうなったら死ぬ気でやるしかない」と前を向き、村上も「逆に1年間、東京のためにみんなの倍も練習できる」と誓っている。

 全日本種目別の鉄棒のシード権を持つ内村は決勝のみ出場する意向で、村上は「出場は未定。検討中」(関係者)。今後の戦いが単なる“消化試合”になるか、それとも東京五輪への華麗な復活ロードとなるか。男女エースは今、体操人生の大きな岐路に立っている。