体操の世界選手権(10月、ドイツ・シュツットガルト)の代表選考会を兼ねた全日本選手権(26〜28日、群馬・高崎アリーナ)の予選が26日に行われ、五輪個人総合2連覇の内村航平(30=リンガーハット)が6種目合計80・232点の37位でまさかの予選落ち。個人総合による代表入りの可能性が消滅した。

 前日から肩の痛みを口にし“不確かな自信”と表現して臨んだが、結果は無残だった。あん馬で落下し、跳馬と鉄棒では着地できず、平行棒で落下した際には左肩を押さえて悲痛な表情を浮かべた。

 長らく体操界をリードしてきたキングの信じられない姿に、首位発進の谷川翔(20=順天堂大)は「あの内村さんが…。失敗を全部、見ていましたが、こういうこともあるんだ、と。体操競技の怖さです」とあぜんとし、北園丈琉(16=清風高)は「今も憧れですが、残念…悲しい気持ちになりました」と語るなど、試合後は重い空気に包まれた。

 そんな中、報道陣の前に姿を現した内村は「練習が積めていない。当たり前の失敗。それ以上でも以下でもない」と敗戦の弁。世界選手権が絶望になり、さらに厳しい道のりとなりそうな2020年東京五輪については「夢物語ですね。何とかしたいけど、何をしていいのか分からない。すべてが終わったなという感じ」と悲痛に語った。

 ただ、可能性はゼロではない。置かれた状況を冷静に受け止めた内村は「諦めたくはない。こうなったら死ぬ気でやるしかない」と、いちるの望みに懸ける熱い気持ちも吐露。数々の栄光を手にしてきたキングはただでは死なない。