体操の世界選手権(10月、ドイツ・シュツットガルト)の代表選考会を兼ねた「全日本選手権」(26~28日、群馬・高崎アリーナ)の公式練習が25日に行われた。五輪個人総合2連覇の内村航平(30=リンガーハット)は「首から下はもう全部痛いようなもんなので」と満身創痍を告白。それでも体操ニッポンのエースとして「結果」を求められる状況を本人も理解しており「自分の演技ができれば結果はついてくるはず。まずは代表に入ることが第一の優先」と語った。

 練習を終えるなり「年が明けて肩を痛めてしまった」と明かした内村。昨年11月の世界選手権(ドーハ)の後、床と跳馬を除く4種目に絞って練習したことで体のバランスを崩したのが原因だった。今大会は床以外の種目で難易度を下げて“応急処置”を行うが、胸の内では自信がみなぎっている。

 今年1月に三十路を迎えたキング。若いころの自分について「練習からすごく自信を持っていた。それを『確かな自信』って勝手に名付けている」と語りつつ、現状は「なかなか思うように体も動かなくなり、練習も思うように積めなくなった」と吐露。そうなると、他人にない強みが経験値という名の“引き出し”だ。

「今までは確かな自信を持って試合に臨んでましたけど『不確かな自信』を持ってやることも今はすごく大事。これまで人ができない経験もたくさんさせてもらっているし、自分しか持っていない自信もある。今、ここで活用しなければいけない」

 体がダメなら経験値で勝負――。数々の栄光を手にしてきた男にしか達することができない境地である。