【体操】パワハラ告発から8か月 宮川「みやぞんさんのお母さんに救われた」

2019年04月11日 11時00分

みやぞん母の言葉を色紙にしたためた宮川紗江

 今だから正直に話します――。体操のリオ五輪女子代表・宮川紗江(19=高須クリニック)が9日、神奈川・鎌倉市の徳洲会で練習を公開した。昨夏に日本体操協会の女子強化本部長だった塚原千恵子氏(71)と副会長の塚原光男氏(71)を告発し、日本中に波紋を呼んだパワハラ騒動から約8か月、復帰戦の全日本選手権(26日開幕、高崎アリーナ)を前に本紙の単独インタビューに応じ、胸の内を激白。騒動を笑顔で振り返り、苦しい時期に支えられた意外な人物の言葉も明かした。

 ――昨年8月29日の告発会見を今、振り返って

 宮川 割と冷静だったんですよ。ウソは言っていないし、自分の思っていることを正直に言っただけなので、後悔もしていません。やらなくていい(状況)なら、やらないほうがいいんでしょうけど、本当に体操界を変えたかったし、変えるいいチャンスでしたので。

 ――第三者委員会の判断(塚原夫妻が「パワハラではない」と認定)に納得いかない思いは

 宮川 あの時は…正直に言うと「第三者委員会やってくれたな!」って感じ(笑い)。まさかパワハラ認定しないことはないだろうって思いつつ、ほんのちょこっとはあるかもって思っていて…。そしたら、やっぱり「あった!」みたいな(笑い)。

 ――なぜ、吹っ切れた

 宮川 その時点で練習環境は整っていたし、スポンサーからも声をかけていただいて、元気になっていたんです。白黒ハッキリさせるまでやりたい気持ちはありましたが「もういい!」っていう感じでしたね。これから体操界は良くなっていくと思う。今はもう割り切っています。

 ――つらい時期にどう向き合ったか

 宮川 会見の前、7月の合宿の時が一番つらかったですが、私は基本的にそんなに落ち込まない。小さいころから、かなりポジポジ(ポジティブ)の性格なんですよ。まあ、良い面も悪い面もありますが…。でも、その性格のおかげで今回も乗り越えられました。この性格じゃなければ、たぶん体操をやめていたでしょうね。あと、親しい友達やコーチが応援メッセージくれたのも乗り越えられた理由ですね。

 ――中でも一番、支えられた言葉は

 宮川「プラッチコウ」って言葉、知ってます? 去年の夏、「24時間テレビ」(日本テレビ系)で(お笑いコンビ「ANZEN漫才」の)みやぞんさん(33)がトライアスロンに挑戦していたとき、みやぞんさんのお母さんが何度も言っていた言葉。プラス思考って意味なんですけど…。その時(告発会見のころ)はどんどんマイナスになっていき、このまま私は潰されるのかなって思っていました。そんな時に「プラッチコウ」って聞き、私もずっと「プラッチコウ」って口に出して言い続けていました。普段からプラス思考なんですが、みやぞんさんのお母さんのおかげで、さらにプラスに考えられるようになりました。

 ――騒動の時はテレビを見ていたのか

 宮川 結構、見てましたね。暇だったし、外にも出られなかったので。練習は夕方からなので、ずっとワイドショーを見ていましたよ。テレビの前でグチグチと文句を言いながら(笑い)。

 ――ワイドショーで印象に残っていることは

 宮川「スッキリ」(日本テレビ系)の加藤浩次さん(49)かなぁ。自分が出演したときは話をよく聞いてくださり、(塚原)光男先生が出演された時、加藤さんは違うって思ったことをハッキリと「違う!」っておっしゃっていました。自分が思ったことを周りに流されずに言っていたので、テレビの前で思わず「そうなんだよ!」って言っていました。

 ――全日本選手権へ向けて意気込みは

 宮川 状態はすごく上向いていて今は絶好調。いろんな意味で注目されると思いますが、それをプラスに変えたい。全日本とNHK杯(5月)で3位以内に入り、個人総合で世界選手権の代表に入るのが今年の目標です。(東京五輪のイメージは)大きな歓声を浴びながら自分のダイナミックな演技をしているイメージ。小さい時から五輪で金メダルを取るっていう思いも変わりません。

【騒動の経緯】昨年8月15日、日本体操協会は宮川への指導中に暴力行為をしたとして速見佑斗コーチ(35)に対して無期限の登録抹消などの処分を発表。同月29日、宮川は記者会見を開き、速見コーチからの暴力は認めたが、その処分について「いくらなんでも重過ぎる」と軽減を求めた。その上で塚原夫妻から「五輪に出られなくなる」「家族でどうかしている。宗教みたい」などと言われ、パワハラ行為を受けたと告発。この宮川の主張を塚原夫妻が否定したため、協会は9月に第三者委員会を設置し、結論が出るまで塚原夫妻を一時職務停止にした。

 同委員会は12月10日、塚原夫妻の行為について「配慮に欠けた不適切な点が多々あったが、パワハラではない」との調査結果を発表。塚原夫妻の職務停止を解除した。さらに今年3月、日本協会は宮川に対し、許可なく記者会見やテレビ出演をしたとして反省文の提出を要求。一方、3月に任期満了で退任する千恵子氏、6月に退任する光男氏については「すでに社会的制裁を受けている」と追加措置なしと発表した。この決定に、宮川とスポンサー契約を結ぶ美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長(74)は「この処分がパワハラだと感じます」と反論した。

 宮川は現在も速見コーチに個別で指導を仰ぎ、徳洲会で練習している。