【ジョージア州オーガスタ5日(日本時間6日)発】今季のメジャー初戦「マスターズ」(オーガスタナショナルGC=パー72)が開幕し、世界ランク6位の松山英樹(26=LEXUS)は初日、73のラウンドで1オーバーの29位発進となった。昨年と同様、グリーン上で苦しんだが、最終18番パー4でようやく今大会最初のバーディーを奪取。2日目以降の反撃ののろしを上げた。3年ぶりの出場で注目を集めたタイガー・ウッズ(42=米国)も73で回り、松山と並んで29位。こちらも上々のラウンドとなった。首位は6アンダーでジョーダン・スピース(24=米国)が立った。

 名誉スターターのジャック・ニクラウス(78=米国)、ゲーリー・プレーヤー(82=南アフリカ)による始球式から約2時間後、シューズや帽子のロゴなどにマスターズカラーの緑を配したウエアで松山が1番のティーグラウンドに立った。

 昨年の初日は4オーバー、54位と出遅れ。3Wを使用した今大会の第1打をフェアウエーに運び、今年こそ好スタートが期待されたが、思惑通りとはいかなかった。

「ティーショットは良かったが、それ以外は全然ダメでした。アイアンショットは(求めるレベルの)半分以下」。チャンスを逃し、ピンチをしのぎ、アーメンコーナーの13番まですべてスコアカード通りにパーを重ねる展開だった。

 初めてスコアが動いたのは14番パー4。フェアウエーからの第2打をグリーン左奥にオーバーさせると、3打目のアプローチは下り傾斜で加速し、カップを20メートル近くオーバー。ここから3パットでダブルボギーとスコアを落とした。

 意地を見せたのが2オーバーで迎えた18番パー4。残り167ヤードからの第2打を右奥3メートルのバーディーチャンスにつけると、これを慎重に沈め「やっと来たというか、やっと開幕したなという感じ」と振り返った。

 悔やまれるのは、バーディーが欲しいパー5でのプレーだった。2番は右20メートルから、13番は手前のカラーから3パット、8番では2メートルのバーディーパットを左に外すなど、いずれもパーでスコアを伸ばせなかった。

 一方で明るい材料はティーショット。14ホール中13ホールでフェアウエーをヒットし、フェアウエーキープ率は全体1位の92・86%をマークした。「2打目をフェアウエーから打てたからグリーンに乗っているだけで、アイアンショットの手応えが全くない」と松山はティーショットの好調すら厳しい自己評価につなげるが、練習ラウンドに比べ、状態は日に日に上向いている。

 上位陣も、首位独走のスピースを除けば決して大きくスコアを伸ばしているわけではない。現地を訪れている日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長(62)は「風があまりないので、逆に読みにくかったのかもしれない。12番辺りは特に風が回るので、ある程度吹いている方が風向きが分かりやすい」と指摘する。

 通常ならやさしいはずの微風のコンディションが、選手たちを惑わせたというわけ。松山も11番パー4、12番パー3と続けてグリーンをショートし、ピンチをしのぐ展開だった。

 ラウンド後「もう帰ります」と話した松山だったが、実際には練習グリーンに直行し、改めてパッティングを調整。「切り替えて明日頑張ります」。首位と7打差は十分に射程圏内。初Vに向け、ここから巻き返しを図る。