【ジョージア州オーガスタ1日(日本時間2日)発】怪物の夢はかなうのか。ゴルフの祭典「マスターズ」は5日にオーガスタナショナルGC(パー72)で開幕する。注目はもちろん、メジャー初制覇の期待がかかる松山英樹(26=LEXUS)。果たして、どんな戦いを繰り広げるのか。日本のテレビ中継で解説、ラウンドリポーターを務める芹沢信雄(58=TSIグルーヴ&スポーツ)が激戦を占った。

 アマチュア時代を含め、松山は今回で7度目のマスターズ出場となる。最高位は2015年の5位。その後も16年7位、17年11位と上位争いを続けている。世界ランクは6位の実力。芹沢は「1Wが上手で飛んで曲がらない、アイアンの精度が高くて、高い球が打てるのが、マスターズで勝てる選手の条件。これはそのまま松山に当てはまる」とコースとの相性の良さを指摘する。

 以前からマスターズで戦えるかを分けるポイントと見ているのが240ヤードの4番パー3だ。「4番を3Iや4Iで狙っていけるかどうか。(芹沢門下の)藤田(寛之)くんは3Wだから止まらなかった。松山や(石川)遼を見て、日本人でもそういう選手が出てきたと感じた」。ただし、4番はティーアップしてのショット。「海外のトップ選手はフェアウエーのペタペタのライからでも高い球を打ってくる。パワーが必要だけど、松山はその点でも負けていない」と見ている。

 一方で今年は不安材料もある。左手親指の付け根を痛め、3連覇がかかっていた2月の「フェニックス・オープン」を棄権。1か月以上の休養を経て、今大会が復帰3試合目という臨戦過程だ。

「希望的観測ではあるけど、年末年始の絶好調から調子を落としてマスターズを迎えた昨年とは逆に、今年は上り調子でくる可能性がある。昨年の全米プロ(5位)で完全に優勝争いをして、メジャーの入り方とか、いけるという手応えを感じたんじゃないか。だからこそ棄権してマスターズに備えたんでしょう」

 課題とされるパッティングについても「これは中島(常幸)さんの意見だけど『下手じゃないけど、入るとき、入らないときの差が激しい』。そういう意味では初日に入れば、4日間ずっと入るんじゃないかな」と楽観的だ。

 カギを握るのは昨年、4オーバーの54位と出遅れた初日のプレー。「天候やコースコンディションにもよるけど、アウトを1アンダーでスッと出て、2アンダーの70ぐらいで回ってくれれば」と具体的なスコアを示した。過去10年の覇者はいずれも初日にアンダーパーをマークし、10位以内でスタート。松山にとっても、Vに向けての一つの目安となりそうだ。