【フランス・エビアン15日(日本時間16日)発】女子ゴルフのメジャー最終戦「エビアン選手権」(エビアンリゾートGC=パー71)2日目は、前日に一度はスタートしながら悪天候でキャンセルとなった第1ラウンドが行われた。現役最後の試合となる宮里藍(32=サントリー)は5バーディー、2ボギーの68で回り、同じく68で回った上原彩子(33=モスバーガー)とともに8位と好発進した。野村敏京(24)は2アンダーで16位。「全米女子オープン」優勝の朴城炫(23=韓国)が63をマークして首位に立った。

 青空の下で“藍スマイル”が輝いた。出だしの10番でチップインバーディーを奪うと、11番も8メートルのバーディーパットを沈めた。その後も「ライン(の読み)もよく合ったし、よく転がってくれた」と振り返ったように、ロングパットが立て続けに入ったことでスコアメークを楽にした。

 前日は激しい風雨の中で6ホールをプレーして3オーバー。だが、中止の決定で記録は抹消された。「どっちに転ぶかは一概には言えない。ラッキーとは感じていない」と冷静だったが、こういう時こそ日本人男女を通じて最多のメジャー通算53戦目となる、百戦錬磨のベテランの見せ場。最悪のスタートを最高のスタートに変えた。

 藍の現役最終戦は米国メディアにとっても大きな区切りとなる。ニューヨーク・タイムズ紙は14日の紙面で藍を大特集。プレーだけでなく言葉や報道対応、他選手との交流にも力を尽くした藍の存在の大きさを周囲の証言で伝えた。

 元世界ランク1位のリディア・コ(20=ニュージーランド)が「私たちは彼女に本当に感謝しないといけない。彼女は日本のゴルフ界だけではなくて、女子ゴルフ全体に貢献した」と絶賛。藍と同組の指名を受けた曽雅?(ヤニ・ツェン、28=台湾)は感慨でホールアウト後に涙を流した。母国の期待を背負って海を渡った同じ立場の仲間たちから一目置かれた藍は、有終の美へ向けてフランスの地でまだまだ輝く。