【ノースカロライナ州シャーロット11日(日本時間12日)発】今季メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」(クウェイルホローC=パー71)2日目、首位に3打差の1アンダー、15位から出た松山英樹(25=LEXUS)が7バーディー、ノーボギーの64の猛チャージで通算8アンダー、暫定首位に浮上した。12番から悪天候による中断を挟んで圧巻の4連続バーディー。上がりの3ホールの難所も安定したプレーで切り抜け、メジャー初制覇に大きく前進した。なお、競技は日没サスペンデッドとなり全選手がホールアウトできなかった。

 圧巻のゴルフにギャラリーからの拍手は鳴りやまなかった。「ヒデーキー、ヒデーキー」という歓声は、最終日を思わせるもの。かすかな笑みを浮かべて18番ホールを後にした松山には貫禄が漂っていた。

 見せ場は12番からの4ホールだった。12番パー4の第1打はフィニッシュで右手を離しながらもフェアウエーをヒット。2打目もすぐにフィニッシュの体勢を解き、決して納得した様子ではなかったが、右3メートルのバーディーチャンス。これを沈めて、この日3つ目のバーディーを奪った。ミスショットのようなしぐさを見せても、ボールがピンに向かって飛んでいくのは、松山に限ってはいつものこと。もはや米ツアーでは見慣れた光景がこの日も繰り返された。

 続く13番パー3の第1打はフィニッシュがバチッと決まって、ボールもピン手前1メートルにピタリ。連続バーディーでスコアを5アンダーとし、この時点で単独2位に浮上した。

 344ヤードと距離の短い14番パー4はティーショットでレイアップしてアイアンを選択。残り80ヤードの第2打を左1・5メートルにつけると、これを丁寧に沈めて、3連続のバーディーだ。

 続く15番パー5のティーショットを左ラフに入れたところでホーンが鳴り、プレーは中断した。およそ1時間40分後にプレーが再開されると、2打目を右に曲げながらも3打目でしっかり寄せて4連続バーディー。そこから“グリーンマイル”と呼ばれる上がり3ホールの難所もあっさりクリアした。

 16番ではトラブルに見舞われたがパーで切り抜け、17番パー3ではバーディー。最終18番もしっかりパーで上がり、通算8アンダーでフィニッシュ。「64」はこの日ホールアウトした選手の中ではフランチェスコ・モリナリ(36=イタリア)と並ぶベストスコアだった。

 流れを作ったのは前半で見せたショートゲームだった。1番パー4ではティーショットを左のラフに入れ、3打目で40ヤードを残したが、これを1・2メートルにつけてパーセーブ。2番パー4でもパーオンは逃したが、グリーン左ラフからの3打目を1メートルに寄せてピンチをしのいだ。

 さらに9番パー4では2打目をグリーン手前のラフに入れたものの、最後は6メートルをねじ込みパーセーブ。初日は6バーディー、5ボギーと出入りの激しい内容だったが、この日はノーボギーのラウンドだった。

 先週の世界選手権シリーズ(WGC)「ブリヂストン招待」を制し、これまで以上の注目と期待を集めるなか、2日目まではその重圧を感じさせない堂々のプレーぶり。日本人男子初のメジャー制覇がより一層、現実味を帯びてきた。