【アスリート 美ューティー TALK】福岡出身でプロ2年目の女子ゴルファー、三ヶ島かな(21=ランテック)が躍進中だ。前半戦最後の「アース・モンダミンカップ」(6月)で2位に食い込み、今季の目標だったシード入りはほぼ確定。後半戦では初優勝の期待がかかる。実力と美しさを兼ね備えた女性選手に迫る好評連載「アスリート 美ューティー TALK」では、おっとりした見た目や雰囲気とは裏腹に、自ら「雑草」というヒロインの素顔に迫った。

 ――目標のシード権獲得はほぼ決まった

 三ヶ島:昨年はシードが取れなかったので、とりあえずシードは取りたいと思っていたんですけど、今はこれで喜んでる場合じゃないなって。調子も上がってきているし、まだまだいけるはずです。

 ――シードでは満足できない

 三ヶ島:「アース――」で2位になって、ギャラリーの方から「感動をありがとう」と声をかけてもらったり、友達から「泣きながらテレビを見た」と連絡をもらって、感動を与えられる選手にならなきゃと思うようになりました。

 ――何か自分へのご褒美は?

 三ヶ島:トラックマン(弾道測定器、約200万円)を買いました。男子はメーカーの方がツアー会場に持ち込んでいることが多いみたいですけど、女子はそうではないので、自分で持っている選手が結構いるんですよ。

 ――バッグやアクセサリーではなくて…

 三ヶ島:そういうものももちろん欲しいんですけど、効率的に練習したいと思ったので、一番はトラックマンでしたね。そんな21歳女子がどこにいるんだって感じですけど(笑い)。

 ――プロを目指したきっかけは

 三ヶ島:小学4年でゴルフを始めたときからです。うちは貧乏だったので、遊びや趣味でゴルフをする環境ではなくて、やるからには上を目指すしかなかった。

 ――貧乏ということはないのでは

 三ヶ島:ゴルフをやっているというとお金持ちだと思われるのはすごく嫌。私はお金をかけずにプロになった数少ない一人。雑草だと思っています。

 ――お金をかけずにとは

 三ヶ島:最初に通った練習場では1か月1万円で打ち放題にしてもらっていました。中学に入るころ、近所に新しい練習場ができて、そこは1か月8000円。初めて買ってもらったクラブを何年も使ったし、ゴルフ場に行ったら落ちているティーを全部拾って使っていました。

 ――高校時代は

 三ヶ島:キャディーのアルバイトをして、そのお金で試合に行っていました。他の子がバイト代でブランド物の財布を買ったりしているのが悔しくて、プロで稼いで私も買うんだって。

 ――今は父・直さん(すなお=46)がキャディーをしている

 三ヶ島:高校時代、私は練習があって、深夜にトラックに乗っていた父とはすれ違いでほとんど会うことがなかったので、その分、一緒にいる感じですね。いつかは独り立ちしなきゃいけないと思ってますけど。

 ――好調の要因は

 三ヶ島:オフにトレーニングで4キロ体重を増やして、安定したスイングができるようになったと思います。急に体重が増えたんで春先にヒザを痛めてしまって、序盤は成績も出ませんでしたけど、昨年より良くなっているという感覚はありました。それから大阪に拠点ができたのも大きいですね。

 ――大阪とは

 三ヶ島:妹が大阪にいるので、関西の試合の後はそこに帰っています。調理師の専門学校に通っていて、レストランで食べた料理をまねして作ってくれるので、私はお店に行かなくても食べられるんですよ。

 ――今後の目標は

 三ヶ島:あまり先を見ても、その手前にある大事なものが見えなくなってしまうので、一歩ずつ目の前のことをやっていこうと思います。1メートルのパットが入らないのに10メートルの練習をしたって無駄じゃないですか。

◆三ヶ島は今週「大東建託・いい部屋ネットレディス」(27日開幕、山梨・鳴沢GC)に出場 同大会は今年から4日間大会となり、賞金総額も4000万円増の1億2000万円(優勝賞金2160万円)となった。2位に食い込んだ「アース――」、初日首位に立った昨年の公式戦「ワールドレディスサロンパスカップ」(最終順位は12位)など、三ヶ島は4日間大会と好相性。先週の「センチュリー21レディス」では13位と好調を維持しており、楽しみな一戦となりそうだ。

☆みかしま・かな=1996年7月13日生まれ、福岡県出身。本名は「伽奈」。父親の影響で10歳からゴルフを始める。2015年夏のプロテストは不合格だったが、同年末の予選会(QT)で5位に食い込み、昨年からツアーに参戦。シードは惜しくも逃したが、QTトップで再び出場権を得た。今季は6月に「アース――」の2位を含む2度のトップ10入りを果たし、初シードを確実にしている。164センチ、血液型=AB。