怪物の新たな選択は実を結ぶのか。6月の「全米オープン」で2位に入った松山英樹(25=LEXUS)は6日開幕の欧州ツアー「アイルランド・オープン」に出場する。2週後の「全英オープン」(20日~)に向けて、異例のスケジュールで悲願の初メジャー制覇を狙う。

 これまでメジャーや世界選手権シリーズ(WGC)など、複数のツアーが重複する試合では出場経験があるものの、欧州ツアー単独の試合に出るのは今回が初めて。舞台となるポートスチュワートGCは北アイルランドのリンクスコースとあって、全英のリンクス対策としてはうってつけだ。

 まだ日本ツアーを主戦場としていた2013年、松山は初出場の全英で3日目にスロープレーによるペナルティー(1罰打)を受けながらも、上位争いを続け、6位でフィニッシュ。いきなりリンクスへの高い適応力を見せたものの、その後はトップ10がなく、昨年は初の予選落ちを喫した。

 ティーショットの飛距離などで格段のレベルアップを見せる今季は、ツアー外競技を含めてすでに3勝。世界ランクも2位にまで上り詰め、本人の状態さえ悪くなければ、コースとの相性に関係なく上位争いできる力がついた。それでも、対策を講じなければならないほどリンクスは特別だ。

 今年と同じ、ロイヤルバークデールで行われた08年の全英では、グレッグ・ノーマン(62=オーストラリア)らリンクスを知り尽くしたベテランが活躍。その前の98年大会を制したのも当時41歳のマーク・オメーラ(60=米国)だった。

 リンクスへの対応がカギを握るのはもちろん、時差調整を考えても欧州での長期滞在がマイナスに働くことはないはず。大会ホスト役のローリー・マキロイ(28=英国)らトップ選手も参戦する“前哨戦”の位置付けだが、本番に期待が持てる結果が欲しいところだ。