国内女子ゴルフツアー「サントリーレディス」2日目(9日、兵庫・六甲国際GC=パー72)、今季限りで引退する宮里藍(31=サントリー)は2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの74、通算イーブンの50位で決勝ラウンドに進出した。順位は下げたものの、観客は前日から約4割増と“藍フィーバー”は過熱。週末の入場制限が現実味を帯びる中、秋以降の“引退試合”に向け観戦の「裏技」に出る人まで現れ始めた。

 藍のスタートは午後0時24分。好天に恵まれたこともあってギャラリー数はグングン伸び、初日を上回る9405人が来場。主催者は当初「平日は8000人を超えた場合は入場制限を実施する可能性あり」としていたものの、制限しなかった。午前10時半にはギャラリー駐車場が満車となり、3日目以降は入場制限を実施する可能性が高まってきた。

 5月26日に、今季限りでの引退を表明した藍は今大会後、米国へ戻り9月14日開幕のメジャー「エビアン選手権」(フランス)までは米ツアーに専念することを明言している。その後の日本ツアー参戦についてのスケジュールは全くの白紙だが、仮に出るとなれば、それが「引退試合」となる可能性も十分にある。

「サントリー」は前売り券が完売するゴルフでは極めて異例の事態となり、オークションサイト「ヤフオク」では週末の観戦チケットが定価を上回る金額で入札されている。藍の見納めとなる大会が確定すれば、チケットが超プラチナ化するのは間違いない。

 そんな状況に“先手”を打つ猛者がすでにいるという。秋以降に行われるあるトーナメントの関係者は「ボランティアの募集はどうなっているんですか?という問い合わせがもう来ているんです」と明かす。トーナメントは選手に付いてスコアボードを持ったり、スコアを記録したりと多くのボランティアによって支えられている。

 報酬は文字通り無給で、遠方から来る場合の旅費も自腹。どの組に付くかは当日の抽選で決まるため、藍を担当できるかも完全に運任せ。それでも、確実に会場に入れるとあって、早くも応募しようというファンがいるわけだ。

 この日の藍は4番パー5でバンカーから乗せられずにダブルボギーを先行させ、一時はカットライン(60位タイまで)をうろうろ。ファンや関係者をやきもきさせたが、それでも決勝ラウンド進出を果たし「気力、体力を使い果たしました」と苦笑いで振り返る。

 週末に「主役」がいなくなるという最悪の事態を免れ「このままでは終われない」とキッパリ。その熱いプレーが、さらにファンの心をひきつける。