【ジョージア州オーガスタ6日(日本時間7日)発】今季メジャー初戦「マスターズ」初日(オーガスタ・ナショナルGC=パー72)が開幕。松山英樹(25=LEXUS)は強風に苦しめられ、1バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの76で、4オーバーの54位と出遅れた。とはいえ、苦しんでいるのは他の選手も同じ。首位のチャーリー・ホフマン(40=米国)が4打差の7アンダーで飛び出した以外は全体的にスコアは伸び悩んでおり、まだ巻き返しのチャンスは残されている。池田勇太(31)は2オーバーの26位。谷原秀人(38=国際スポーツ振興協会)も4オーバーで54位。

 青いセーターに白のパンツ。春らしいさわやかな装いで松山は初日のスタートホールに立った。しかし、天候は正反対。空は分厚い雲が覆い、気温は最高でも18度までしか上がらなかった。

 それ以上にプレーに大きく影響を与えたのが、最大で風速15メートルにもなった強い風。松山がスタートした午前11時12分にはすでに強風が吹き荒れていた。

 そんな風のなか、序盤は2メートルのバーディーパットを決められなかった2番パー5を除けば、大きなチャンスも、ピンチもなくパーを積み重ねる静かな展開。最初にスコアが動いたのは7番パー4だった。

 1Wでの第1打を左の林に打ち込むと、第2打はグリーンの右奥に大きくオーバー。第3打のアプローチは目の前の木に当たり、大きく左にそれ、グリーン手前のカラーに転がった。

 結局、カラーから3パットでダブルボギー。「2打目が想定外だった。あんだけ曲げたら風は関係ない」。松山は悔しさを押し殺すように振り返った。

 続く8番パー5ではティーショットが右、2打目が左とショットを曲げながらもパーオン。ところが、7メートルのチャンスから3パットのボギーとし、前半を3オーバーで折り返した。

 ようやく明るい兆しが見えたのは、さらに1つスコアを落として迎えた14番パー4だった。フェアウエーからの第2打をピンの左手前2・5メートルにつけて初バーディー。直前で強風により、グリーン脇のスコアボードの「MATSUYAMA」のプレートが吹き飛ぶアクシデントがあったが、動じることはなかった。

 その後は明らかにショットの調子が上向きだった。16番パー3はボギーとしたものの、傾斜を利用して寄せようとしたショットが「1~2ヤードだと思う」と紙一重の差で右サイドの段の上についてしまったもの。バーディーは逃したが17、18番でもチャンスを作った。

「全く納得はできないけど、明日もあるんで切り替えたい。(首位との)差は大きいけど、いいプレーができれば、チャンスはあると思う。明日伸ばさないと厳しいかな」。“チャンス”“厳しい”という言葉は優勝争いを見据えているから出てくるもの。出遅れはしたが、優勝への気持ちは揺らいでいない。

 世界ランク1位のダスティン・ジョンソン(32=米国)が前日に階段で転倒し、スタート前に棄権する波乱の幕開けとなった今年のゴルフの祭典。ここからどんな逆転劇が起きても不思議はなさそうだ。