ゴルフの国内女子ツアー「大王製紙エリエールレディス」最終日(20日、愛媛・エリエールGC松山=パー72)、賞金ランキングトップのイ・ボミ(28=韓国)は67のラウンドで通算9アンダーの26位でフィニッシュ、最終戦を待たずに2年連続の賞金女王を決めた。圧倒的な実力と抜群のルックスで外国人選手とは思えないほどの人気者に。もはや「ボミちゃん」のいない日本ツアーなど考えられない状況だが、舞台裏では日本女子プロゴルフ協会(LPGA)もすっかり変心。“日本ツアー永住”を認めることを決めていたのだ。

 逆転女王の可能性を残していた賞金ランク2位の申ジエ(28=韓国)、同3位の笠りつ子(29=京セラ)が優勝を逃したことで、ボミの2年連続賞金女王が決まった。通算24アンダーで優勝したテレサ・ルー(29=台湾)とは大差がついたものの、ボミは「いいプレーで終わることができたので良かった」と喜びを口にした。

 最終戦を残した現段階で獲得賞金は1億7000万円余り。賞金額では昨季の約2億3000万円には及ばなかったが、最も実力を示す指標とされる平均ストロークは70・0260と昨季(70・1914)を上回った。

 リオデジャネイロ五輪出場を最大の目標に今季序盤は出場11試合連続でトップ5入り。それでも、リオ行きの夢はかなわなかった。世界ランクのポイントが大きい海外メジャーに積極参戦するなど、厳しいスケジュールを組んだことで後半戦はやや失速。「今年は争うのがずっとしんどかった」。女王の座を守る苦しみを味わった。

 さらには「今は本当にうれしいが、また来年はプレッシャーがある。目標をどうしたらいいかな」。五輪出場のように明確な目指すべきものがないことに戸惑いの表情を浮かべた。そんななか、2年連続女王のボミにふさわしいと思われる目標が通算30勝だ。ボミは今季5勝で通算20勝に到達。日本ツアーで永久シードが与えられる大台が視界に入ってきた。

 LPGAは昨年末の時点で「永久シードは会員を対象とした制度と考えている」と単年登録という形でツアーに参戦し、正会員ではないボミは永久シードの「対象外」というのが基本スタンスだった。ところが、本紙が改めて永久シードについてLPGAに問うと「今年に入って、協会内でこれまであいまいになっていたツアー規定の解釈を確認し、単年登録者も永久シードの対象とするという見解で一致しました」と明言。ボミの人気と実力がLPGAの考えを一変させた格好だ。

 現在、新たに会員登録できるのはプロテスト合格者のみ。30勝に到達した時点で入会を認めるか、その後も単年登録を繰り返すのかについては「決まっていません」としており、詳細は今後、規定の改定などで対応するとみられる。

 かつては現役引退を思い描いていた28歳にして日本ツアーの頂点に君臨するボミは「できるまでは一生懸命やりたい」と当面、第一線を退くつもりはない。30勝まで残り10勝。過去2年で12勝を挙げた現在のペースなら2018年シーズンには大台に到達する。

 明確な目標があれば、情熱が尽きることもないはず。「スマイルキャンディ」が来季以降も人気、実力の両面でツアーの顔として活躍するのは間違いなさそうだ。