【HSBCチャンピオンズ優勝】怪物・松山英樹が進める“世界戦略”

2016年11月01日 06時00分

【中国・上海発】男子ゴルフの世界選手権シリーズ(WGC)で米、欧州ツアーを兼ねる「HSBCチャンピオンズ」最終日(10月30日、シェシャン国際GC=パー72)、首位スタートの松山英樹(24=LEXUS)が66をマークし、通算23アンダーで米ツアー3勝目を挙げた。WGC日本人初制覇は2位に7打差の圧勝劇だったが、松山の視線はさらにその先にある。石川遼(25=CASIO)と組んで出場する「ゴルフW杯」(11月24日~、オーストラリア)での世界一、そして日本人初のメジャーVへ向け、怪物が進める“世界戦略”とは――。

「スタート前は緊張していたので、ノーボギーで回れて良かった」。大舞台でのプレッシャーを感じさせることなく、松山は序盤から着々と独走態勢を固めた。

 1番パー4で第2打を1メートルにつけてバーディー発進を決めると、5番パー4でもピン手前1・5メートルに完璧なアイアンショットを突き刺す。前半で3つスコアを伸ばし、2位との差を4打に広げた。後半に入っても、守りに入るどころか13番からの3連続バーディーで突き放す。今年の「全英オープン」を制したヘンリク・ステンソン(40=スウェーデン)、メジャー4勝のローリー・マキロイ(27=英国)ら追いすがるライバルたちに完全に引導を渡した。

 米ツアーでの過去2勝はプレーオフを制してのものだったが、今回はぶっちぎり。最終18番パー5で5メートルのパーパットを沈めると、右拳を何度か振り、静かなガッツポーズで締めくくった。

 2002年に丸山茂樹(47=セガサミーHD)、伊沢利光(48)組が、当時WGCの一つだった「ゴルフW杯」を制したが、個人でのWGC制覇は日本人どころかアジア勢初の快挙。米ツアーは3勝目で日本人最多の丸山に並んだ。

 世界ランクは現在の10位から6位に浮上する見込み。中嶋常幸(62)が持つ最高位の4位を射程圏に捉えるなど、過去の日本人ゴルファーが築いてきた、あらゆる記録を塗り替えつつある。

 さらには「この優勝で来年のメジャーが楽しみになった」(松山)。次なる目標はゴルフ界の最高峰であるメジャー制覇だが、その前に「世界一」の称号を手にするチャンスがある。それは来月、28の国・地域別対抗で争うW杯だ。

 日本は前記の02年大会のほか、1957年大会(中村寅吉、小野光一組)を制しており過去2勝。松山は自らパートナーに指名した石川とのコンビで挑む。同大会では初日と3日目に、1つのボールを交互に打つ「フォアサム」が採用される。契約メーカーが異なる2人は、ここでどちらかのボールを選ばなくてはならない。

 石川によれば「英樹にはボクのボールを打ってもらったし、ボクも英樹のボールを打った。今のところ、どちらでもいけるかなという感じ」。飛距離やスピン性能、風の影響の受け方など、メーカーやモデルによってボールには微妙な差がある。2人の契約メーカースタッフは、ともに「世界ランク上位の松山のボールに落ち着くのでは」と見ているが、本人たちは最善を尽くすため着々と準備を進めている。

 今大会で松山は契約メーカー外の新しい1Wを使用した。これまでは安定性を重視し、学生時代から慣れ親しんだモデルを使い続けてきたが、最新モデルを手にしたことで飛距離がアップ。まだ完璧にフィットするクラブは見つかっていないものの、米ツアーの選手たちも「とても攻撃的な名手」(今大会9位のラッセル・ノックス)と認めるアイアンショットに1Wの飛距離が加われば、鬼に金棒だ。

 名実ともに日本人歴代最強となった松山が目指すのは世界の頂点。今回のWGC初制覇をきっかけに、その勢いはさらに加速しそうだ。