【英国・トルーン14日(日本時間15日)発】男子ゴルフの今季メジャー第3戦「全英オープン」初日(ロイヤルトルーンGC=パー71)、ここ3試合で2度予選落ちの松山英樹(24=LEXUS)はスコアメークに苦しみ、3バーディー、4ボギーの72のラウンド。1オーバーの75位と出遅れた。日本のエースはリオ五輪欠場を決断したばかり。辞退者の続出で4年後の東京五輪もすんなりとは行かない雲行きだ。メジャー最少スコアタイの63を叩き出したフィル・ミケルソン(46=米国)が8アンダーで首位に立った。

 出だしの1番パー4は会心のドライバーショットから、第2打を1メートルに寄せてバーディー。松山の4度目の全英は最高の形で幕を開けた。

 リンクスとは思えない絶好のコンディションのなか、同組のローリー・マキロイ(27=英国)、バッバ・ワトソン(37=米国)が積極的に1Wで攻めるのとは対照的に、2番以降はティーショットでアイアンを多用。自分のスタイルを貫き、前半を2アンダーで折り返した。

 難ホールが続く後半もショットの好調は維持したものの、パッティングがかみ合わず3ボギー。最終18番パー4では奥から7メートルのバーディーパットがカップに嫌われ、初日は1オーバーでのフィニッシュとなった。

 ホールアウト後、松山は「オーバーパーは打ちたくなかったが、仕方がない。自信もないが、全然ダメかと言われたらそうでもない」と淡々。悔しさの中にも逆襲への闘志ものぞかせた。

 世界最高峰のメジャーが開幕した一方で、五輪のゴルフは揺れている。男子で辞退者が相次いだことを受け、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(62)はリオ五輪後に実施競技を改めて評価し、国際ゴルフ連盟(IGF)と話し合いを持つ意向を示した。評価の最重要ポイントは「トップ選手の参加」だ。

 4年後の東京五輪でトップ選手の参加を促すため、競技方法の見直しも検討される見込み。松山も以前から「団体戦なら(五輪への思いも)違っていたかもしれない」と話すなど、通常のトーナメントとは違う国別のチーム戦を求める声がゴルフ界では根強い。

 しかし、団体戦の実施には課題も多い。IOCは男女それぞれ60人の出場枠に対して、5大陸から30か国以上の参加を求めている。五輪対策本部強化委員長を務める日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長(60)は「2人揃えられる国がどれだけあるのか? 出場国を決めるために大陸予選をやるのか? そんな簡単な話ではない」と指摘する。

 個人戦のリオでも男子は世界ランク300位台、女子は400位台の選手が出場権を得た。30か国から2人ずつの団体戦とすれば、より下位の選手の参加は確実。過密日程が辞退者続出の一因となっていることを考えれば、大陸予選開催は現実的ではない。東京では改めて日本のエースとしての期待がかかる松山だが、五輪におけるゴルフの今後はあまりに不透明と言わざるを得ない。

 もちろん、今の松山にとって重要なのは4年後ではなく、目の前のメジャー。「普通にはやれている。(2日目のスタートまで)時間があるので調整したい」。天候が崩れる予報が出ている2日目以降の巻き返しを誓った。