男子ゴルフの国内ツアー最終戦「日本シリーズJTカップ」最終日(6日、東京よみうりCC=パー70)、単独首位でスタートした石川遼(24=CASIO)が67とスコアを伸ばし、通算14アンダーで自身初の日本タイトルを獲得した。米ツアーではギリギリでシードを維持したのに対し、国内では7戦2勝。日本ツアーのレベルを疑われかねない結果を本人はどう受け止めるのか? 現在、両ツアーでプレーする唯一の選手でもある石川を直撃した。注目の答えは――。

 今季の日本ツアーで複数優勝を果たしたのは5勝の賞金王・金庚泰(29=韓国)と、最終戦で2勝目を挙げた石川の2人だけだった。その石川は米ツアーを主戦場とし、国内はわずか7試合の出場。他の選手に比べれば3分の1以下の試合数で、賞金ランキング6位の8700万円余りを稼ぎ出した。

 一方、米ツアー(2014―15シーズン)での成績は28試合でトップ10入りが2回、予選落ち11回。最終戦でなんとかシード圏内(フェデックスランク125位まで)の124位に滑り込んだ厳しいシーズンだった。

 これを物差しにすれば、米ツアーのシード選手は、日本ツアーで堂々の賞金王争いができる――それほどのレベルの違いがあることになる。

 この日米の差をどう受け止めているのか。本紙がストレートに疑問をぶつけると、石川は「レベルの違いはありますよ。皆さんが知らないような選手でもボクが見て、日本だったら賞金王になれるのに、3~4勝できるのにと感じることはたびたびある。もちろん日本にもこのまま伸びていけば、米ツアーでも戦えるんじゃないかと思う若い選手はいますけどね」。

 両ツアーに加え、石川は13年には米下部ツアーとの入れ替え戦も経験。「下部ツアーにも技術的にはそのレベルの選手がたくさんいる。米国にはそれでもくすぶっている選手がゴロゴロどころじゃなく、いるんです」。レベルの差は戦っている石川が大いに実感しているのだ。

 もちろん、ゴルフの結果は技術だけで決まるものではない。「いいときはすごいけど、一つのボギーやダブルボギーでガタガタになる選手もいる」。くすぶっている選手にはそれなりの理由があるといったところだろう。

 今大会では通算14アンダーをマークし、2位に5打差をつけたが「このコースで米ツアーをやったらと思うと、トップ10ギリギリのスコアかな。今週はいいプレーができたと思うけど、米ツアーでトップ10に入れるときってこんな感じなんです」。

 日米の大きな差を意外にあっさりと認めた石川だが、最後に「ただし…」とこう付け加えた。「米ツアーで124位の選手が日本で、あっさり勝ったとは思わないでほしい。米ツアーで今年いいゴルフができなくて、そこから考え方を変えて日本で勝てた。今のゴルフができれば、フェデックスランク50位ぐらいには行けると思う」。国内での2勝は石川の進化の証しでもある。

 優勝会見では「すべてのショットで攻めるつもりだったのに16番(パー4)の2打目は逃げた。バーディーだったし、言わなければ誰も分からないだろうけど、あのショットをしていたら米ツアーでは勝てない」と悔やんだ。悲願の初Vへ、年明けには再び米ツアーのハイレベルな戦いに身を投じる。