国内男子ツアー「ダンロップフェニックス」初日(19日、宮崎・フェニックスCC=パー71)、昨年優勝の松山英樹(23=LEXUS)は70のラウンドで、1アンダーの17位発進となった。前日の会見でリオ五輪に向けて複雑な胸中を明かして波紋を呼んだが、今大会に選手として出場しているリオ五輪日本代表ヘッドコーチ(HC)の丸山茂樹(46=セガサミーHD)は早速行動を開始。来月中にも松山と“面談”を行う予定があることを明かした。迷える怪物の気持ちは晴れるのか――。

 4バーディー、3ボギーでラウンドを終えた松山は「良くなかった。ショットもパットもいいところがなかった」と不満たっぷりにこの日のプレーを振り返った。とはいえ、十分に優勝が狙える位置。日本人ではダントツとなる世界ランク16位の貫禄を示した。

 各国の世界ランク上位2人(15位以内は4人まで)が出場権を得るリオ五輪の代表となるのは確実。丸山HCの下でプレーすることが決まっている唯一の選手でもある。

 そんな丸山は前日(18日)に日本ゴルフ協会(JGA)からHCの委嘱状を受け取ったばかり。初日は3オーバー、66位という内容にもかかわらず報道陣に囲まれたとあって「プレーじゃなくて、五輪のことが聞きたいんでしょ」と苦笑いを浮かべながらも、五輪に対する考えを語った。

 JGA山中博史専務理事(52)と話し合いを持ち、強く求めたのは「選手にとっての五輪の価値を高めてほしい」ということだけ。具体案としてメダリストへのシード付与を挙げ「金メダルなら10年、銀で5年、銅で3年とかね。今からというのではなく、好きなときに行使できるようにしてほしい」と行使時期についても言及した。

 丸山自身、現在はシードを持たない立場。現在は功労選手としてのバッジを持っているが、シードを失った2012年にはバッジがなく、日本のツアー会場で警備員に止められた過去がある。それだけに「米ツアーでは永久に使えるバッジをもらってる。(02年に伊沢利光とのコンビで)日本代表としてW杯にも勝ったのに何もない。今の若い選手には同じような寂しい思いはしてほしくない」と自身の経験を踏まえ、選手への褒賞の意味を強調した。

 そんな丸山にとって気になるのは、18日の会見で松山が現時点では五輪にメジャーと同じ意気込みでは臨めない微妙な心境を口にしたこと。それだけに、今回のJGAに対する要求の趣旨説明も含め、松山と話し合いの時間を持つ考えだ。

「12月に食事をしようという話はしました。そこで五輪について、どう考えているのかも聞いてみたい。あとは(丸山の自宅があるロスで米ツアーの試合がある)2月にウチでバーベキューでもしようとね」

 直接会談で松山のモヤモヤを晴らすことができるか。代表強化は丸山の言葉にかかっている。