本当にナンバーワンを決める大会なのか――。ゴルフ国内男子ツアー「ダンロップフェニックス」(19日~、宮崎・フェニックスCC=パー71)を前に、前年覇者として18日、会見に臨んだ松山英樹(23=LEXUS)が来年のリオデジャネイロ五輪について口を開いた。その中身は、これまでの一部トップ選手たちによる発言と同じく、試合形式や位置付けに疑問を呈したもの。112年ぶりに五輪正式種目に復帰したとはいえ、周囲と選手たちの間には温度差があることが浮き彫りになった。

 雷雨によりプロアマが中止となると、松山は会見場に姿を見せた。「プロアマがなくなったのは残念だが、いい休養が取れたと思ってやりたい」。自身初の同一大会連覇に向けて意欲的な言葉を並べた。

 米ツアーを主戦場とする松山が日本で会見を行う機会は少ないとあって、集結したメディアからはさまざまな質問が飛んだ。そのなかで出たのが来年のリオ五輪について。松山は「正直まだ考えていません。出られるのであれば、全力を尽くしてやろうと思いますけど…」と煮え切らないコメント。周囲からはメダル獲得の期待がかかるが、本人の口から前向きな言葉は出てこなかった。

「本当にナンバーワンを決める大会なのかというのはPGA(米ツアー)の選手もみんな思っていること」

 選手たちがこうした疑問を抱く理由は日程や試合形式などにある。変則日程となる2015―16シーズンは7月中旬から中1週の間隔で「全英オープン」「全米プロ」「リオ五輪男子ゴルフ」が開催される。「メジャーは生まれたときからみんなが目標にする大会ですし、五輪もすごい大会だというのは分かるのですが…」。奥歯に物が挟まったような言い方だが、トップ選手がどちらを重視するかは言わずもがなだ。

 メジャーには世界から100人以上のトップ選手が集まるが、五輪はわずか60人。原則2人までという各国の枠があるため、世界ランク50位以内の選手でも出場できるのは半数程度となる見込みだ。一方で、国によっては同300位以下でも出場権が発生するというアンバランスな出場選手構成となる。

 それだけに松山は五輪の位置付けについて「チーム戦なら変わってくるのかなと思いますが、なかなか難しいですね」と言葉を濁した。

 実際、こうした発言をするのは松山だけではない。13年の「マスターズ」覇者アダム・スコット(35=オーストラリア)は今春「五輪はエキシビション。五輪ありきでスケジュールを組むことはない。出られなくても残念ではない」と話し、物議を醸した。選手によって温度差があるのは紛れもない事実だ。年内の松山の出場予定は今大会を含めて2試合。モヤモヤを抱えたまま、五輪イヤーを迎えることになりそうだ。