サウジアラビア政府系ファンドが支援する超高額賞金の新ツアー「LIV招待」は、30日に開幕する第2戦で米本土初上陸する中、試合が行われるオレゴン州の地元自治体が開催に反対している。米スポーツメディア「ESPN」が報じた。

 英ロンドン近郊で新ツアー開幕戦(9~11日)が行われ、フィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン(ともに米国)も出場予定の第2戦は、オレゴン州ポートランド近郊ノースプレーンズのパンプキンリッジGCで開催される。しかしノースプレーンズ市長や周辺都市の首長は、同GCのオーナーであるエスカランテ・ゴルフ社に懸念を示す文書を送ったという。

 オレゴン州の上院議員ロン・ワイデン氏も、このトーナメントに反対する発言をしており、1997、03年の全米女子オープンなどを開催した名門クラブのメンバーの中にも、この状況を好ましく思っていない人がいるとのこと。

 反対派は、ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害など、サウジアラビアの人権侵害を指摘。しかも地元オレゴン州では、2016年にサウジアラビア人留学生による、ひき逃げ事件が起きている。15歳の少女が殺されたが、同国政府が、偽造パスポートの手配を手伝い、母国逃亡の手助けを行ったとされている。そんな反サウジ感情も開催反対の声を強めている。

 前出の文書には「このイベントは、人権侵害が記録されている抑圧的な政府によって主催されているため、私たちは反対します。私たちは、サウジアラビアに支援された組織が私たちの裏庭でプレーすることに加担して、これらの虐待を支援することを拒否します」と記されているという。

 歓迎ムードとは程遠い雰囲気とはいえ、時間的に中止は難しいだろう。大会チケットにはファンが政治的な行動を禁じているが、会場周辺を含めて何らかの抗議行動が起きてしまうのだろうか。