鬼門突破はなるか。女子ゴルフの渋野日向子(23=サントリー)は今週の米ツアー「DIOインプラントLAオープン」(21日開幕、カリフォルニア州・ウィルシャーCC)に臨む。先週の「ロッテ選手権」(ハワイ州)は今季自己最高位の2位。ツアーメンバーとしての初優勝に期待が高まっている中、グリーン上で待ち構える〝難敵〟の攻略が勝負のポイントとなりそうだ。

 3週前は今季メジャー初戦「シェブロン選手権」で4位、先週は2位。今季の目標としていたシード権確保が早くも確実となるなど、急速な進化を見せながら米ツアーの戦いに適応している。先週は、これまで弱点とされていた強風の中でプレーを強いられても、苦労する他の選手を尻目にスコアを伸ばしていった。

 さらにウエッジでのアプローチは、昨年の同時期と比べものにならないくらい驚異的に進歩しており、苦手分野が次々と塗りつぶされている。そこで目指したいのは、今回の会場となるウィルシャーCCのグリーンで使用されるポアナ芝に対するアジャストだ。主に米国西海岸のコースで使われ、ラインが読みづらく、不規則な転がりをすることが多い。ベント芝が主流の日本ではお目にかからないグリーンのため、ほぼ100%の日本人選手が苦労する。

 すでに渋野は同芝のグリーンだった先月の「JTBCクラシック」(カリフォルニア州)で痛い目に遭っている。予選は突破したものの、最終日に1バーディー、7ボギー、1ダブルボギーで米ツアーワーストの80と大きく崩れ、72位に急降下。思うようにいかないパッティングからリズムを崩してショットにも悪影響が出る悪循環に陥った。ラウンド中の立て直しもできず「自分のミスが多い1日だったので、どうしようもなかった」と、お手上げだった。

 上り調子で迎える今大会なら、グリーン上で流れをつかめば、一気に優勝へ近づくと言っても過言ではないだろう。その一方で、一筋縄ではいかない〝相手〟だけに、再び悲劇が起こる可能性は否定できない。それが不調への引き金となるケースも考えられる。

 あるベテラン男子プロは「切り替え上手な渋野さんなら大丈夫」と前置きした上で「特に今週は入らなかったときの見極めが大事。芝目が原因の不運もある。思った通りのストロークができていれば、入らなくても気にしなくていい」と注意点を挙げた。

 ただでさえパッティングは、今季1ラウンド平均29・75の78位と課題になっている分野。28位の笹生優花(ICTSI)、39位の畑岡奈紗(アビームコンサルティング)、48位の古江彩佳(富士通)より下の米ツアー日本勢最下位に甘んじている。今週も劇的な〝変わり身〟でサプライズを提供してくれるのか注目だ。