〝桃子祭り〟を制したのは――。ゴルフの国内女子ツアー「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」最終日(10日、埼玉・石坂GC=パー72)、首位と2打差の3位から出た上田桃子(35=ZOZO)が1イーグル、3バーディー、2ボギーの69をマーク。通算9アンダーで逆転Vを飾った。一時は上田桃子、岸部桃子(28=塩田建設)、大里桃子(23=伊藤園)のトリプル桃子がリーダーボードの上位に並ぶ中、年長者が意地を見せつけた。

 桃子と言えば私だ。上田のプレーから魂の叫びが聞こえてくるようだった。1番パー5でツーオンに成功し、ピン左3メートルのパットを沈めてイーグル発進。続く2番パー3では確実にバーディーを奪って首位に浮上した。5番パー4ではボギーをたたくも、最後まで攻めのゴルフで2人の桃子を突き放した。「3人(桃子が)なかなかそろうことはないが、そろったおかげで話題にもなって、その中でやっぱり自分の日にしたいと思っていたので、うれしい」と声を弾ませた。

〝夫婦共闘〟でミセス初Vを引き寄せた。「(結果が)よくても悪くてもすごく応援してくれている。好きにゴルフをさせてもらっている状況に甘えないような準備をしようと心掛けている。せっかくさせてもらっているので、それだけのことはやろうと思っている」。昨年6月に結婚後も、夫は上田がゴルフに専念できる環境を整えてくれた。決して当たり前ではないからこそ、昨年5月の「パナソニックオープンレディース」以来となるツアー通算17勝目を「ゴルフに集中させてくれている環境にすごく感謝している。結果で返せてよかった」と感慨深げに振り返った。

 開幕から自身のプレーに手応えを感じながらも、遠かった頂点の座を6戦目で奪取。次なる目標はメジャー制覇だ。「海外の選手だったらいくつくらい(のスコア)で上がってくるかなとか、メジャーでこういう状況だったら自分はどういうふうな考え方だったり、どういうテンポでプレーできるだろうかとかを意識しながら回っている。それが結果メジャーにつながると思ってプレーしている」とかねて特別な思いを抱いてきた。

 すでに6月2日に開幕する「全米女子オープン」へのエントリーも完了済み。「特に全米はコテンパンにされている」と苦笑いを浮かべながらも「夢のような大きい舞台だが、今週のような難しいコースを、頭を使いながら頑張ると好結果につながると思う。(今週の)3日間を60台で回れたのは大きな舞台につながる」と収穫を口にした。

 黄金世代の渋野日向子(サントリー)、畑岡奈紗(アビームコンサルティング)など、寅年組の活躍が目立つ女子ゴルフ界だが、上田も同じ寅年。寅年の先輩として、メジャーでも己の力を見せつける覚悟だ。