その裏にある願望とは――。日本ゴルフツアー機構(JGTO)は30日、日本人初となる4月の「マスターズ」優勝を果たした松山英樹(29=LEXUS)に「JGTO特別表彰」を授与すると発表した。

 日本人はおろかアジア人として誰も成し得なかった「マスターズ」制覇は文句なしの大快挙。JGTOは今回の「特別表彰」で表彰状、記念品を贈るほか、新たな規定を制定し、開始年を選べる10年シードを付与することになった。松山はJGTOを通じて「現在、米ツアーを主戦場にしていますが、母国である日本にはたくさんの仲間がいて、そのたくさんの仲間たちが私のためにいろいろなことを考えてくれて、そしてこのような素晴らしい表彰制度ができたことを本当にうれしく思います」とコメントした。

 表彰自体は自然な流れだが、新制度は国内男子ツアーが置かれた現状が見え隠れする。人気低迷に歯止めがかからない状況だけに、どのタイミングで松山が今回の権利を行使するかは未定とはいえ、スムーズに国内ツアーに復帰できる道筋をつけた格好だ。松山は発表コメントの中で「何よりうれしかったことは、規定の新設や適用について、日本ゴルフツアー選手会の皆さんが話をしてくれて決定したということです」と言及していたが、選手会も現状に強い危機意識を持っているわけだ。

 新規定決定のプロセスに影響はなかったものの、松山に匹敵する人気選手である石川遼(30=CASIO)は、米国からの帰国後に自主隔離破りを犯して大幅にイメージダウン。国内ツアーを背負うほかの超看板選手がなかなか現れない中、男子ツアーは石川のイメージ回復や松山の早期国内復帰を願うしかないのだろうか。松山が凱旋優勝した10月の米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」は新型コロナウイルス禍でギャラリーの人数制限がありながら大盛り上がりだった。