米ツアー挑戦は成功するのか――。女子ゴルフの国内メジャー「日本女子オープン」最終日(4日、栃木・烏山城CC=パー71)、66で回った勝みなみ(23=明治安田生命)が通算14アンダーでメジャー初優勝(ツアー通算6勝目)を飾った。メジャー優勝による複数年シード獲得で来年の米ツアー予選会挑戦を表明。勝の米ツアー参戦について、海外事情にも詳しい日本ゴルフツアー機構(JGTO)元会長の小泉直氏(82=現JGTO顧問)を直撃した。


 2位に6打差をつける圧勝でメジャータイトルに輝いた勝は「最終日最終組は緊張もするし、追いかけられる立場もあるので、なかなかスコアを伸ばせないことが多いけど、粘ってスコアを伸ばし切ったということで、成長を感じた1日だった」と胸を張った。同じ黄金世代の渋野日向子(サントリー)には「勝ちゃんだけ違うコースで回っていると思う」と言わしめた。

 メジャー優勝による複数年シード獲得で、かねて意欲を示していた米ツアー挑戦を改めて表明。「今は米国に行く方向で考えている。(今年の予選会は)受けようと思って8月に調べたら、もう締め切られていた。今年が無理なら来年頑張って最終から受ければいいと話しているし、(世界ランキング)75位以内に入れば最終(予選会)からいけるので」と見通しを語った。

 米女子ツアーは世界中から選手が集まり、国内ツアーで実力者と言われても必ず成功するとは限らない。果たして勝はどうなのか。小泉氏は開口一番、「通用すると思いますよ。ボールもよく飛んでいますし、そんなに曲がらない。スイングのタイミングだとかスイングアークの大きさを見ても小さくまとまっている印象はなく、スケールが大きいので楽しみです」と太鼓判を押した。

 さらに直接の面識はないと前置きした上でプレー面からメンタル的不安要素もないという。「(米ツアー参戦中の)畑岡奈紗さんのように、しっかり自分を持っているようだし、ピンチでもビクついたり、スイングが早くなったりせず平常心を保っているように感じる。そういう意味でも環境が変わる米国で生活面も含めて適応できるでしょう。日本よりも海外向きかもしれませんね」

 今でも通用するとしながらも「勝さんの持ち球はドロー(左曲がり)系。日本のコースではそこまで厳しくないので必要ないが、フェード(右曲がり)もマスターすればもっと強くなる」とアドバイス。米ツアーのトップ男子プロは狭いポイントを狙うときは、ミスしたときの曲がり幅が大きくなるドローを打たない。ストレートやフェードで狙うのが主流だからだ。

 やみくもに習得しようとすればスイングを壊す恐れもあり、慎重な判断が求められるが、勝にポテンシャルを感じるからこその助言。米ツアー本格参戦となれば、「全英女子オープン」を制した渋野に続く黄金世代から2人目の海外メジャー制覇の期待も大きくなりそうだ。