もう強いウッズは見られないのか? 復帰2戦目となった先週の米男子ツアー「ファーマーズ・インシュアランス・オープン」を腰痛のため棄権したタイガー・ウッズ(39=米国)に限界説が浮上している。きっかけは元コーチ、ハンク・ヘイニー氏(59=米国)のラジオでの発言。肉体的な問題や技術面ではなく、モチベーションの低下が指摘されており、復活への道のりは険しいままだ。

 世界ランキング62位――。昨年5月にはナンバーワンに君臨していたウッズが8日発表の最新ランクで、ついにここまで順位を落とした。復帰戦の「フェニックス・オープン」では最下位で予選落ち、先週大会も初日に腰痛で棄権とあっては仕方がないところだ。

 現状ではケガの回復についてアナウンスはないが、26日開幕の「ホンダ・クラシック」には出場する予定。翌週には過去7勝と相性抜群の世界選手権シリーズ「キャデラック選手権」(3月5日開幕)が行われるが、現状では出場資格(世界ランク50位以内)を満たしていない。

 例年のウッズのスケジュールやメジャー「マスターズ」(4月9日開幕)までに実戦経験を積む必要を考えると、「キャデラック選手権」と同じ日程で行われる「プエルトリコ・オープン」出場というまさかの展開も予想される。

 同大会はいわゆる“裏開催”。トップ選手はおらず、賞金やポイントは通常のトーナメントの半分程度になっている。ウッズがこうした大会に出場すれば、キャリアで初の出来事となる。

 しかし、これはウッズが「マスターズ」、つまりメジャー制覇に意欲を持っていればの話だ。あと4勝に迫ったジャック・ニクラウス(75=米国)の歴代最多メジャー18勝が最大の目標とされているが、2010年5月まで6年間、ウッズのコーチを務めたヘイニー氏は「メディアがあおってきただけで、一緒にいて彼がそれを重視していると感じたことはない」と米ラジオで語った。さらに07年の時点でウッズが「『今日でキャリアが終わっても自分が成し遂げたことを振り返り、幸せに感じるだろう』と言っていた」ことを明かしている。事実ならば、裏開催に出てまで準備を整えることはないだろう。

 モチベーションの低下による練習不足を指摘するヘイニー氏は「トップアスリートと接してきた経験上、以前と同じ気持ちに戻ることはないだろう」とピシャリ。もはやウッズが以前のような強さを取り戻すことはない…とみているのだ。

 ただ、コーチ辞任後に暴露本を出版するなど、現在のヘイニー氏はウッズにとって煙たい存在。それだけに、こうした発言が闘志に火をつける結果になるかもしれないが…現状では上がり目はありそうにない。