男子ゴルフの国内ツアー最終戦「日本シリーズJTカップ」最終日(7日、東京よみうりCC=パー70)、賞金ランキングトップで最終戦を迎えた小田孔明(36)が66のラウンドで通算6アンダーの3位に食い込み、初の賞金王に輝いた。来季のメジャー切符だけではなく、念願の釣り番組出演も内定。日本の新たなキングの「夢」が次々に現実のものになろうとしている。

 賞金王にふさわしい圧巻の締めくくりだった。16、17番を連続バーディーとして迎えた18番パー3、小田の第1打はピン手前6メートル。「ショートしたら恥ずかしいんで強めに打ったら入った」とツアー屈指の難ホールで、この日唯一のバーディーを奪い、日本ナンバーワンの力を見せつけた。

 直後にウルッときたが…「グリーン脇にいたらテレビカメラが近づいてきたんで、必死で我慢しました(笑い)」。とはいえ、いつまでもこらえられるものではない。その後は「誰に何を言われてもジーンとくる」と何度も涙を見せた。

 7月の「全英オープン」(39位)で海外メジャー通算5試合目にして初の予選通過。8月の「全米プロ」(40位)でも予選を突破し「あの2試合で自信がついた」と世界の舞台での戦いをシーズン後半の原動力にした。

 賞金王になったことで、来年の「全英オープン」出場が確定。「子供のころから夢だった」という聖地セントアンドリューズに2010年以来、2度目の挑戦を果たす。

 他のメジャーも世界ランク(今大会前54位)で出場が狙える位置。「推薦がもらえるなら前の週に米ツアーの試合に出たり、早めに米国に入ってしっかり準備をして臨んでみたい」。年齢的に米ツアー挑戦は考えていないが、これまで以上に本気で世界と戦う覚悟だ。

 さらに朗報がある。オフにはプロ野球界の太公望、城島健司氏(38)との会食が決まっているのだ。城島氏の冠番組「J的な釣りテレビ」(RKB毎日放送)の打ち合わせを兼ねたもの。「収録や放送の予定が決まっているわけじゃないから」とはいうものの、オフになると地元福岡で釣りざんまいの賞金王は釣り番組出演を熱望してきた。この“夢”の実現に向けて動きだした格好だ。

 最後は「疲れた。早く帰りたい。そろそろ釣りに行かないと心が持たないよ」とぼやいたが、まだ戦いは終わらない。今週のアジアツアー「タイ選手権」(11日~)は「マスターズ」(来年4月)初出場がかかる年内の世界ランク50位に向けたラストチャンス。「最後なんでガンガン攻めます」。賞金王として迎える初戦で、さらなる夢の実現を目指す。