国内男子ツアーの最終戦「日本シリーズJTカップ」2日目(5日、東京よみうりCC=パー70)、14位から出た石川遼(23=CASIO)が6バーディー、3ボギーの67をマークし、首位に2打差の通算3アンダー、6位に浮上した。国内ツアー終盤戦で結果が出ていなかったが、あの大物のアドバイスが復調に導いた。マスターズ王者からの“金言”とは――。

「今週のゴルフなら優勝争いができる。先週までとは違う」。V圏に浮上した石川が自信の言葉を口にした。

 今大会で5週連続の国内ツアー参戦となったが、この間の成績は52、60、31、34位。ショット、パットとも精彩を欠き優勝争いとは無縁だった。

 それでも、この日はスタートの1番で幸先良くバーディーを奪うと、6番パー5では残り235ヤードから3Iでピン手前5メートルに2オン。イーグルは逃したが、4番のボギーをすぐに取り戻した。

 後半はさらに4つのバーディー。「3日目は首位との差を一打でも縮められたらいい」と優勝への道のりを思い描いた。

 転機となったのは今回の5連戦の2試合目「太平洋マスターズ」だった。予選ラウンド終了後のロッカールームで2日間同組で回った「マスターズ」2勝のバッバ・ワトソン(36=米国)から呼び止められた。

「『スイングのことを考え過ぎじゃないか』と言われました。『コースではどんな球筋でどこに打つのか、それだけに集中すべきだ』って…」(石川)。ワトソンはラウンド中も常にスイングチェックを繰り返す石川の姿に違和感を覚えたのだろう。

「以前は試合になれば、勝手に入り込んでいけた。試合も練習の一環だと思うぐらいでちょうど良かったけど、最近は、特に日本ではそのバランスが取れていなかったかもしれない」

 ワトソンの言葉をこう受け止めた石川はこの日のラウンド後「釣り合っている」と繰り返した。「何が」とは口にしなかったが、王者の“金言”から3週間、心のバランスを取り戻したことを意味するのは間違いない。

 久々のV争いに「緊張ではなく、ワクワクしている。そのなかで今の自分にどんなゴルフができるのか知りたい」。世界最強レフティーの言葉を胸に大会最年少優勝記録(羽川豊の23歳363日)更新のおまけがつく今季2勝目へと突き進む。