ゴルフの国内男子ツアー「ダンロップフェニックス」2日目(21日、宮崎・フェニックスCC=パー71)、松山英樹(22=LEXUS)は1イーグル、6バーディー、1ボギーの64をマークし、通算10アンダーで単独首位に立った。今季はこれが国内ツアー2戦目。出場義務試合数の不足で来季の出場資格を失う可能性もあったが、優勝すれば問題はほぼ解決する。“自力”で周囲の雑音をシャットアウトだ。

 18番パー5、松山の残り240ヤードからの第2打はグリーンセンターに落ちると、フックラインを描きカップに吸い寄せられるように転がった。ボールは手前20センチのところで停止。あとわずかでアルバトロスというスーパーショットにも、松山は「240ヤードも先の転がりなんてイメージできない。イーグルパットが打てたらいいなというぐらいですよ」と冷静だったが、楽々のイーグルで単独首位に躍り出た。

 今年2月に日本ゴルフツアー機構(JGTО)は新たな規定を設け、松山は年間5試合に出場しなければ、来季は昨季賞金王としての出場資格を失うことになった。出場の優先順位は下がるものの、3試合の出場でも資格が得られる“救済措置”も定めた。

だが、米ツアーを主戦場とする松山は、今大会が今季国内最終戦。いずれの条件も満たせないことが確定している。正式に資格停止となるかについてはJGTOの制裁・懲罰委員会の決定を待たなくてはならないが、松山の来季の出場資格について周囲が騒がしくなっていた。そんななかでこの日の大爆発だ。このまま優勝すれば状況は一変する。

 JGTOの山中博史専務理事は「義務試合数を満たせなかったことについて、制裁・懲罰委員会を開くことに変わりはない」としたうえで「新たに得た資格を与えないような規定はない」と説明。松山が来季もツアーメンバー登録を行えばとの条件付きだが、ツアー優勝時から2年間の新たな出場資格が発生することに変わりはないというのだ。

 山中専務理事はさらに「選手やGTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)からも、今季の規定には疑問の声が出ており、改定に向けて動いている」と義務試合数の引き下げも示唆した。

 ホストプロの松山は「結果を出すことが一番の恩返し。難しいことだと思うけど、最後までこの位置をキープしたい」。国内の出場資格を失うという誰も望まない事態を自らのVで回避となれば、まさに松山らしい意地の幕引きとなる。