【米ケンタッキー州ルイビル8日(日本時間9日)発】松山、劇的イーグル締め。今季メジャー最終戦「全米プロ選手権」2日目(バルハラGC=7458ヤード、パー71)、松山英樹(22=LEXUS)は72のラウンドで1オーバー、69位とギリギリで決勝ラウンドに進んだ。常にカットラインを下回る苦しい展開だったが、上がり2ホールをバーディー、イーグルとし、執念で予選を突破した。首位はR・マキロイ(25=英国)で9アンダー。日本勢は小田孔明(36)も通算イーブンで予選通過。石川遼(22=CASIO)と谷原秀人(35)はともに4オーバーで予選落ちした。
最終18番パー5、イーグルパットを沈めた松山は二度、三度と右拳を握り締め、ガッツポーズを見せた。
これが勝負強さなのだろう。15番パー4では第2打を池に入れてボギー。4オーバーに後退し、3ホールで3つスコアを戻さなければならなくなった。16番はパー止まりで残りは2ホール…。完全に追い詰められたところから逆襲が始まった。
17番パー4、それまで不安定だったティーショットがフェアウエーをとらえると、残り200ヤードから1・5メートルにつけてバーディー。最終ホールに望みをつなげる。
続く18番もティーショットはフェアウエーをとらえた。残りは210ヤード。ピンに向かって真っすぐに飛んだボールはピン奥4メートルにピタリと止まった。入れるしかないイーグルパット。決してやさしくはない下りのフックラインだったが、松山は冷静にラインを読み切る。執念のイーグルで自ら決勝ラウンドの扉をこじ開けた。
この日は出だしから決して調子は良くなかった。2、3番を連続ボギーとすると、6番では第2打が40ヤードショート。第3打のアプローチでもグリーン左のラフにこぼれた。ここから1・5メートルに寄せたものの、パットが決まらず痛恨のダブルボギー。松山らしからぬミスが序盤から相次いだ。
それでも、土俵際に追い込まれた上がり2ホールは別人のようなプレー。ポテンシャルの高さを証明すると同時に、優勝候補として乗り込んできた意地を見せた。
予選2日間のフェアウエーキープ率は53・6%、パーオン率は55・6%。ともにシーズン平均よりも10%近く低い。決勝ラウンドで上位に進出するには最低限、普段通りのパフォーマンスが必要となる。
米ツアー本格参戦1年目の今季、日本人4人目の優勝を果たしたものの、メジャーでは結果が出ていない。「マスターズ」では初の予選落ちを喫するなど、2度のトップ10入りがあった昨季とは対照的な成績。
メジャーで苦しんだ1年で終わらせないためにも、残る2日は、ひとつでも上を目指して戦うだけだ。