バーディーパットを打ったら、背後から全く別のボールが転がってくる…そんな珍事が米テキサス州で開催中の世界ゴルフ選手権シリーズ「デルテクノロジー・マッチプレー選手権」で発生した。

〝事件〟が起きたのは15番パー4のグリーンだった。パトリック・カントレー(29=米国)は、入れればこのホールは勝ちとなる3メートルほどのバーディーパットを打つと、ゆっくりとカップに視線を向ける。

 ボールは惜しくもカップ左を抜け「惜しい」と思ったその時、背後から別のボールが転がってきてグリーンを横切っていったのだ。

 状況が全く理解できないカントレーは、あぜんとした表情を見せる。周囲がよく見えていない一般アマチュア4人でのプレーならともかく、ここは世界のトップ64人だけが出場できるトーナメント。さらにマッチプレーではピンから遠い選手が必ず先に打つ。

 もし近い方の選手が先に打ってしまうと、相手から打ち直しを求められることもあるが、カントレーと対戦していたブライアン・ハーマン(34=米国)はすでにパーでホールアウトしており、順番間違いはあり得なかった。

 ましてボールが飛んで来た方向にはスポンサー用の巨大テントが設営されており、違うホールから打ち込まれることも考えにくく、何が起きたのかわからなくて当然の状況だ。

 この〝犯人〟は、ジョーダン・スピース(27=米国)。ワンオンを狙える288ヤードの13番パー4のティーショットは右に飛び出し、カート道を直撃して大きくバウンド。大型テントも越えて、15番グリーンサイドに着弾。絶妙なスピードでカントレーが打ったボールの近くを転がっていったのだった。

 幸い、当たってもケガをするような勢いではなかったが、そのために音もほとんどせずカントレーは気がつかなかったというわけだ。

 ちなみにカントレーは1アップで勝利。敗れたハーマンは2日目に松山英樹(29=LEXUS)と、カントレーは3日目に対戦する。

 スピースの13番は障害物の救済を受け、無罰でドロップしてパーで引き分け。マッチは3アンド1でマシュー・フィッツパトリック(26=英国)に勝利した。