ゴルフの国内男子ツアー「長嶋茂雄招待セガサミーカップ」最終日(6日、北海道・ザ・ノースカントリーGC=パー71)、67をマークした石川遼(22=CASIO)が10アンダーで並んだ小田孔明(36)とのプレーオフを3ホール目で制し、今季初優勝を挙げた。1年8か月ぶりのVは、北海道での集中合宿中に臨んだ成果がいきなり出た格好。父でコーチの勝美氏(57)は、来年以降も合宿を恒例行事化することを本紙に明かした。悲願の米ツアー初Vへ“日本縦断キャンプ”という独自スタイルを確立する。

 4日間連続でバーディーを奪ってきた18番パー5で行われたプレーオフ。これまた3連続バーディーとした石川が、今季好調の小田を振り切り通算11勝目を挙げた。

 練習ではできているスイングやパッティングを試合の中でも再現することを課題としていた石川は「優勝争いに緊張感の中で最高級の練習ができた。試合での1回は練習で100回連続でやるよりも価値がある」。優勝と成長という2つのテーマを見事に両立させた。

 大会後もさらに2週間続く今回の合宿は父の提案で実現したもの。勝美氏がこの意図を本紙に明かした。「日本ではシーズンを戦いながら調整していたが、米ツアーではそれができず、戻るべき軸を失っていた」

 日本以上にさまざまなショットの打ち分けを求められ、基本となるストレートボールのスイングを崩してしまったというわけ。米ツアーの明確なオフシーズンは12月のみだが「今後も夏は北海道、冬は沖縄で2週間ずつぐらいは合宿を行う」(勝美氏)。最北~最南と日本を“縦断”するキャンプで「戻るべき軸」を定期的に作り直す方針だ。

 合宿には同世代の若手プロやジュニアも参加しているが、共通して行えるメニューはすべて石川が考案。連日、朝7時30分からトレーニングを行い、10時からは打ち込み、午後2時からは練習ラウンドの日程で、大会期間中もラウンドを終えるとここに合流していた。

 現時点での成果について、勝美氏は「まだまだ合宿前とほとんど何も変わっていない」とケムに巻いたが、石川自身は「最終日になって、ようやくいいスイングが続けてできるようになった」と手応えを口にした。この優勝はやはり合宿の成果といえよう。

 大会名誉会長を務める長嶋茂雄氏(78)は決勝ラウンド2日間を観戦し「松山英樹、石川遼という2大スターが凱旋し、華やかに(第10回の)記念大会が開催されたことを大変うれしく思っています」とコメント。「(優勝)パットの前の姿勢が素晴らしかったので、入ると思っていたよ」と長嶋氏から祝福を受けた石川は「ボクなんかとは比べ物にならない重圧の中で輝きを放ってきた方なので、他の人とは見るところも違う。目の前で勝てたことは一生の思い出です」。喜びとともに長嶋氏の鋭い眼力に改めて敬服した様子だった。

 表彰式では「早く(松山)英樹に追いつけるよう、次は米ツアーでの優勝を目指して頑張ります」とファンにあいさつ。次なる目標はもちろん、松山に先を越された米ツアー優勝。定期的に合宿を組むという独自スタイルを確立し、さらなる飛躍を誓った。