ゴルフの米男子ツアーが「デシャンボー・ルール」とでもいうべき新たなOBを設定した。

 今週の米ツアーは第5のメジャーとも呼ばれる「プレーヤーズ選手権」(11~14日、フロリダ州TPCソーグラス)。賞金総額1500万ドル(約16億3000万円)はシーズンで最高額のトーナメントだ。

 そのフィニッシングホールとなる18番パー4は、439ヤードの全長で左にカーブしたレイアウト。左サイドはティーイングエリアからグリーンまで池が続く。

 優勝などのプレッシャーがかかる状況でこの池に落としたり、安全に行き過ぎて右サイドの林に打ち込んでトラブルになったり、と悲喜こもごもなドラマの舞台となっている。

 前週の「アーノルド・パーマー招待」で優勝したブライソン・デシャンボー(27=米国)は、同大会で左サイドの池をグルリと囲むレイアウトの6番パー5で大幅にショートカットする池越えのビッグドライブを披露。3日目には370ヤード。最終日は377ヤードの飛距離を記録した。

 そのデシャンボー、TPCソーグラスの18番は通常なら「ティーショットは4番アイアンで打ち、7か8番アイアンでグリーンを狙う」攻め方をする。

 だが今年は、池の左サイドにある9番ホールを狙ってティーショットを打つ、という前代未聞のコースマネジメントを予告した。

 この方向に打って池を超えるには約310ヤードのキャリーが必要だが、デシャンボーには問題のない距離。残り距離も100ヤードほどになり、よりやさしいアングルでグリーンが狙えるという。

 ただし、このエリアにはギャラリーが通るエリアでもあり、他にもボールが池に落ちた際に最後に横切った地点を特定するためのボランティアもおり、隣のホールから打ち込んでいくのは非常に危険。そのためツアーは「ギャラリーやボランティアの安全のため」を理由に急きょ、18番から池越えをして9番に打っていった場合は「OB」とすることを決定した。ただし9番をプレーしている選手が曲げてこのエリアに打ち込んだ場合はOBとはならない。

 こうして臨時のOBエリアがツアーで設定されることは初めてではなく、今回もデシャンボーだけを狙い撃ちしたルール変更ではない。

 ただ、他にこんな攻め方を思いつく選手もいないため、米スポーツ専門局「ESPN」は「ブライソン・ルール」と名づけた。一人でルールを変えてしまうとは、なんとも恐ろしい存在だ。