渋野は「恋愛でゴルフを崩さない」 小泉直JGTO元会長が占う21年ゴルフ界

2021年03月04日 11時15分

スイングする石川(右)と見守る小泉氏(右から2人目)。左はタイガー・ウッズ(2009年10月)

【The インタビュー~本音を激白~(16)】ゴルフ界は国内女子ツアー「ダイキンオーキッドレディス」(沖縄・琉球GC、4~7日)から2021年がスタート。今年も渋野日向子(22=サントリー)らの活躍が期待される中、国内男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)元会長の小泉直氏(81=現顧問)はゴルフ界の現状をどう見ているのか。連載「The インタビュー」第16回、渋野をはじめ男子の2大スター、松山英樹(29=LEXUS)と石川遼(29=CASIO)について独自の視点で現状と今後を占った。

 ――国内女子ツアーの注目はやはり渋野だ

 小泉氏(以下小泉)一昨年の秋ごろだったかな。こんなことを言ったことがありました。「これからは“3渋”の時代だ」と。もちろん1つはその年の8月に(AIG)全英女子オープンで優勝した渋野日向子。そして今年の大河ドラマの主人公・渋沢栄一、3つ目は再開発で生まれ変わろうとしている渋谷。それくらい注目されていく存在ということです。

 ――プレーヤーとしてはどう見ている。

 小泉 生い立ち、ゴルフに対する考え方、追求度を見ていると渋野は急激に落ち込むことがないと思ってます。それに何よりもスター的な要素と言える、良い笑顔を持っている。笑顔は万国共通ですからね。

 ――1月に週刊誌「フライデー」でテレビ東京の野沢春日アナとの熱愛が報じられた。

 小泉 恋愛がプレーに影響を及ぼすこともあります。これまでもそれが原因でゴルフを崩してしまった選手は少なくないですが、その点、彼女は心配しなくていいでしょう。彼女はAB型で、恋愛や世の中の風評といったものに流されにくい傾向がありますのでゴルフを崩すことはないと思います。

 ――男子では松山が米ツアーで活躍中だ

 小泉 あんまり気にする人はいないかもしれないですけど、松山はB型。この血液型は、目標に向かって一直線ですから雑念に惑わされることはありません。しかも練習熱心。これからも2年に1回くらいは(米ツアーで)1勝してくれるでしょう。

 ――2017年8月以来、米ツアー未勝利

 小泉 ショットは抜群ですから、それはパットが原因。パットは精神的なものが大きい。入れてやろうという意欲と、ここに打つという決断が大事です。例えば、タイガー・ウッズ(45=米国)を見ると、コロコロ、トンという入り方ではなくて、バンッって感じでカップに入っていくでしょ。でも精神が安定していないとタイガーでも短い距離を外しますから。

 ――石川は国内ツアーを引っ張る存在だ

 小泉 石川は必ず完全復活します。ゴルフは集中力と決断力と自制心が大事なのですが、決断力をもっと上げていくことが重要。コースの中で「ああでもない、こうでもないよ」というようなしぐさを見かけますが、いろいろなことが交錯しているんでしょうね。米国の一流プロでそういうしぐさをしている選手はいません。

 ――松山以外、石川を含めてなかなか米ツアーで活躍できる日本人選手が出てこない

 小泉 これは講演でもよく話すのですが、確固たる理由があります。米国のゴルフ大会は、選手、スポンサーが参加する前夜祭から始まりますが、日本のプロはこういう場の訓練ができていません。ゴルフのことならいくらでも話せても政治、経済の話になると黙ってしまう。前夜祭の席上でスポイルされてしまい、試合前から2ダウンくらいのハンディがあるようなものです。

 ――やはり語学の習得も重要になる

 小泉 もちろん話せるに越したことはないが、これは英語ができるできないではなく、そういうことを身につけていかなければならないということ。タイガー・ウッズやフィル・ミケルソン(50=米国)は教育を受けてきています。やっぱり米国社会に慣れる必要があるんでしょうね。

 ――男子ツアーの行く末も気になる

 小泉 ゴルフのルールブックの第一章はエチケットなんですよ。相手を敬い、褒める、人間的にもしっかりしなければならない。これがゴルフの素晴らしさ。もう一度、原点から考え直す必要があると思っています。それに実務ができるビジネスマン的な要素を持った人間が、マーケティング戦略に基づいて組織をマネジメントしていく必要があるのではないでしょうか。 

【男女とも2年で1シーズン】昨年は新型コロナウイルスの影響で大会中止が相次いだため、国内女子ツアーは2年で1シーズンとし、昨年から続く形で行われる。例年ならばツアー開幕戦となる「ダイキン――」は、2021年初戦という位置付け。昨年2勝の笹生優花(19=ICTSI)が賞金ランキングトップに立っている。
 また男子ツアーも同様で20―21年シーズンとして行われる。昨年は6試合(シンガポールオープン含む)しか開催されておらず、今年は4月15日開幕の「東建ホームメイトカップ」(三重・東建多度CC名古屋)が今年初戦。男子の賞金ランク1位は、昨年10月の「日本オープン」を制した稲森佑貴(26=国際スポーツ振興協会)となっている。

 ☆こいずみ ただし 1939年3月26日生まれ。東京出身。東京・立教高では野球部に所属し、センバツ甲子園に出場。立大進学後も野球部入部希望だったが、3学年上の長嶋茂雄(巨人終身名誉監督)や杉浦忠(元南海監督)とのレベル差を痛感して断念。ゴルフ部に入り副将を務めた。卒業後、トヨタ自動車に入社。同社営業部長や同社関連会社の要職を経て2008年3月に日本ゴルフツアー機構(JGTO)の会長に就任。その後は名誉会長などを歴任し、現在はJGTO顧問を務めている。

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