【ノースカロライナ州パインハースト13日(日本時間14日)発】男子ゴルフのメジャー第2戦「全米オープン」(パインハーストNo.2=パー70)2日目、1アンダー6位から出た松山英樹(22=LEXUS)は2バーディー、3ボギーの71で回り、通算イーブンパーの14位と苦しみながらもV圏にとどまった。連日の65で36ホールの大会最少記録130をマーク、通算10アンダーで首位を快走するマルティン・カイマー(29=ドイツ)に決勝ラウンドで追いつき、男子メジャー日本人初制覇を成し遂げる可能性はあるのか。倉本昌弘日本プロゴルフ協会会長(58)が重要な分析を行った。

 ショットの調子は決して良くはなかった。だが松山は粘りに粘る。

 1、2番では2打目でグリーンを捉えながらもこぼれてしまう。このピンチをそれぞれ1メートル、50センチという巧みな寄せでしのぐと、逆に3番でバンカーから1メートル強につけバーディー。9番では6メートルと長めのチャンスを決めた。

 いい流れだったが、12番で3メートルのチャンスを決められず、そこから厳しい展開に。13番で手前からのアプローチが強く入り、ピンを大きくオーバー。16番ではバンカーショットがアゴに当たり、18番でもグリーンを外したように、パーオンできたのは10ホール。だが状況に応じてパターやウエッジを使い分けパーを拾ったホールも多かった。右肩にアイシングをするなど体調面の不安を抱えながらも、71で回れたのは我慢のゴルフができた証し。予選を終えメジャー自己最高の14位で決勝に進んだ。

 カイマーの独走はコンディションに恵まれた面もある。決勝ラウンドではピン位置がさらに厳しくなり、グリーンのコンパウンド(硬さ)を高めて難易度を上げてくることが予想され、このまま伸ばし続けるとは考えにくい。

 ならば松山が追いつき、夢のメジャー勝者となれる可能性はあるのか…それについて、倉本会長は次のように話した。

 まず2週前の米ツアー「メモリアル・トーナメント」での初Vを「トップ選手が顔を揃える真のフルフィールドで勝ったのは初めて。日本人初の快挙」と高く評価。それだけにほぼ同等のメンバーである今回でも勝てると考えてもおかしくないが、それには一転して「難しいと言わざるを得ない」。

 理由はメモリアルでの勝ち方にある。最終日は世界ランク1位のA・スコット(33=オーストラリア)が池ポチャ、同3位のB・ワトソン(35=米国)がOBと想定外の崩れ方をした。「勝つときはそんなものかもしれないけど、プレーオフでK・ナ(30=米国)が入れたクリークもホールロケーションを考えれば、あり得ない。ものすごい運があった」。それと同じ強運に再び恵まれるとは考えにくいわけだ。

 だが、実は完全否定でもない。松山が最終ラウンドのバック9でV争いに加わっているなら話は別だ。「ああいう流れが来れば今の松山は勝ち切れる。期待している」

 日本人のメジャー勝利は、1977年の樋口久子(全米女子プロ)、昨年の井戸木鴻樹(全米プロシニア)がいるが、男子レギュラーツアーで成し遂げた者はいない。“倉本予想”的中ならば、後々まで語り継がれるような劇的な展開となりそうだ。