日本人初のメジャー制覇なるか? 12日開幕のメジャー第2戦「全米オープン」(ノースカロライナ州パインハースト・リゾート№2=パー70)に松山英樹(22=LEXUS)が堂々の優勝候補の一角として出場する。「メモリアル・トーナメント」では世界ランク1位のアダム・スコット(33=オーストラリア)ら強豪を撃破し、米ツアー初Vを達成。勢いに乗ってさらなる快挙に挑む。

 世界ランク13位の松山はメジャーの舞台においても、間違いなく優勝候補の一人だ。英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズは51倍。2010年の覇者G・マクダウェル(34=英国)、昨年の「全米プロ」を制したJ・ダフナー(37=米国)といったメジャーチャンピオンたちと同等の評価を得ている。世界がその実力を認めた証明だろう。

 プロ1年目の昨季はいきなり日本で4勝を挙げて賞金王を獲得。今季も米ツアー1年目にして早くも日本人選手で4人目となる優勝を手にした。松山が次々と結果を残せるのは、アマ時代から世界を目指してきたことと意外な順応性の高さがあるためだ。

 日本のトッププロは多くがボールに自分の名前を印刷しているが、米ツアーではマジックで印をつけるのが一般的。「アマ時代からの流れもあって、松山もボールに名前は入れていません。プロになった直後にどうするか尋ねたら『いらないっす』のひと言でした。米国では名前を入れないのが普通だと知っていたんでしょうね」(契約メーカースタッフ)。米ツアー参戦を想定し、まずは形から溶け込もうとしていたわけだ。

 さらに昨年10月に今季の米ツアーが開幕すると、グリップを青から黒に変更した。「機能的な面もゼロではないと思いますが、一番は米ツアーでカラーグリップを使う選手がほとんどいないからでした」(同)

 用具だけではなく、プレー面も同じ。日本にいるときと、何も変わらずにプレーしているように見えて、実際は米国に合わせたマイナーチェンジを繰り返している。

 松山は10日(日本時間11日)、アウトの9ホールを回り、球がこぼれ落ちやすいグリーンの周りからのアプローチを入念に点検した。9番(パー3)でティーショットが直接ピンに当たるなど、ショットの好調さをうかがわせ「練習してだいぶ良くなった」と手応えを口にした。

 前週に現地入りし、既に合計で2ラウンドをプレー。「コースは全部が難しい」と警戒。2週前の「メモリアル・トーナメント」で念願の米ツアー初制覇を達成したばかりだが、お祝いムードはない。「(手応えは)分からない」と普段と変わらない表情で「うまくコースに順応できるよう、頑張りたい」と開幕に向けて気を引き締めた。