国内女子ツアー「KKT杯バンテリン・レディース」最終日(20日、熊本・熊本空港CC=パー72)は、首位と1打差の2位でスタートしたアマチュアの勝みなみ(鹿児島高1年)が68で回って通算11アンダーとし、ツアーの史上最年少記録を更新する15歳293日で初優勝を飾った。宮里藍(28=サントリー)らに続いて史上4人目となるアマでのツアーV。女子ゴルフ界のニューヒロインの「プロ転向」の時期は関係者ならずとも気になるところだが、彼女に残された時間は意外に少ないという。


 グリーンジャケットを着て優勝カップを抱えた15歳の天才少女は、優勝スピーチで「初日を首位タイで終えたとき、お母さん(久美さん)に電話したら『優勝しちゃうんじゃね?』と言われ、頑張ろうと思ってプレーしていた。まさか本当に優勝できるとは…。私を支えてくれた人たちに感謝したい」と素直な気持ちを語った。初日から思い切りのいいプレーでギャラリーを沸かし、強風が吹く最終日もプレッシャーに負けなかった。最終18番の2メートルのスライスラインも強気に攻めてパーセーブ。「震えたりすることはなかった」と強心臓ぶりも披露した。


 日本女子ツアーの歴史を大きく塗り替えた勝。こうなると注目は、天才少女がいつプロに転向するかに集まる。勝は「プロになるかどうかは、まだ考えていない」と話したが、悩ましい問題も横たわっている。


 今回の優勝により、勝は日本女子プロゴルフ協会に対して「単年登録」の申請をしてプロゴルファーとなれば「優勝した翌日から365日以内の日本でのツアー競技出場」の資格を得られる。ただし、申請の期限は4週間しかない。そのため、権利を行使するかを5月16日までに決断する必要がある。


 プロテスト、QT(予選会)受験に年齢制限のない男子と違い、女子はいずれも「18歳以上」が条件。これは「プロゴルファーにとって、プロアマ戦での『接待』も重要な仕事。そのためには18歳以上が妥当」との考えがあるからだ(単年登録は年齢制限なし)。


「プロアマ」では文字通り「ホステス」としての仕事が求められる。かつてはここでセクハラまがいの被害を受けた選手もいた。


 そんな“仕事”を18歳未満にやらせるわけにはいかない…との考えはもっとも。とはいえ、現行の「4週間以内」のルールでは、15歳のうちにオトナの世界に飛び込むかどうかを決断しなければならないのだ。

 藍がアマチュアで優勝したのは18歳101日。2年前の「サントリー」を16歳332日で制した金孝周(キム・ヒョジュ=韓国)は日本ツアーのメンバーにならなかったため、年齢問題が表面化することはなかった。当初のプランだった「高校卒業後にプロテスト受験」では今回Vの「特典」は何もなくなる。人生の選択をどうするか。15歳の女子高生ゴルファーが答えを出すには、あまりに短い4週間といっていい。