【三菱電機レディス】6打差大逆転Vの西村優菜 〝勝てない女〟を返上

2020年11月02日 11時00分

樋口久子名誉会長(左)とから優勝ブレザーを贈呈された西村

 恩返しの初V――。女子ゴルフの国内ツアー「樋口久子・三菱電機レディス」最終日(1日、埼玉・武蔵丘GC=パー72)、6打差を追ってスタートしたミレニアム世代のルーキー・西村優菜(20)が65をマーク、通算11アンダーとスコアを伸ばし、大逆転でツアー初優勝を飾った。アマ時代から常に世代トップクラスの活躍を続けながら、ビッグタイトルとは無縁。“安定の西村”がようやく突き抜けたプレーを見せたが、その裏では数々の苦労があった。

 身長150センチ。今季のツアーに継続して出場している選手の中では最も小柄な西村が、会心のプレーで大逆転劇の主役になった。

 前半で首位との差を4打に縮めると、終盤はキレキレのアイアンショットで徐々に首位の勝みなみ(22=明治安田生命)に迫る。

 スタート時点の目標は「トップ3」だったが、14番のバーディーで2打差にしたところで「優勝争いを目指して頑張ろうと切り替えました」(西村)。一気にギアを上げ、15、16番と3連続バーディーで追いつくと、最終18番パー5では残り115ヤードからの3打目をピン奥1メートル弱につけ、この日8個目のバーディーで勝負を決めた。優菜という名前は「優しく菜の花のように明るく」という願いが込められたもの。そんな願い通り、涙ではなく、明るい笑顔がはじける初優勝となった。

 すでにツアー2勝の古江彩佳(20)や、アマ時代からツアーで活躍してきた安田祐香(19=NEC)と同じ2000年生まれのミレニアム世代。彼女たちに負けない実力は誰もが認めるところだが、アマ時代は大舞台での優勝に手が届かなかった。18年はシンガポールで行われた「アジア太平洋女子アマ」でプレーオフの末の2位、「日本女子アマ」は4位。常に上位にいても勝てないもどかしさもあってか「今年は結果が出せていない」と悔しがった。

 5位だった昨年の「アジア太平洋女子アマ」(茨城)は日本人でただ一人、キャディーをつけずにカートを引いてセルフでプレー。「この大会はキャディーフィーが高いし、両親は共働きで来られないので…。ちょっと恥ずかしいんですよ」。環境が良くなってきたとはいえ、ゴルフはやはりお金がかかるスポーツ。裕福な家庭に育った選手も多く、引け目を感じていたのかもしれないが、それを感じさせない笑顔で理由を明かしていた。

 プロになってついにつかんだ初優勝の賞金は1440万円。使い道を聞かれると「何も考えていなかったんで、どうしよう…。母が欲しいと言っていたので財布をプレゼントしたいですね」。コースへの送り迎えなどでサポートしてくれる母・枝里子さんへの恩返しが真っ先に浮かんだ。

 この優勝で“安定の西村”は卒業かと思いきや「常に上位にいるのが強い選手。優勝はうれしいし、たくさんしたいんですけど、そのためにもトップ10に入る回数が多い選手になりたいです」。安定感に磨きをかけて、小さくてもビッグな選手を目指していく。