年下の活躍が刺激!? 女子ゴルフの国内メジャー「日本女子オープン」最終日(4日、福岡・ザ・クラシックGC=パー72)、単独首位から出た原英莉花(21=日本通運)が68をマーク、通算16アンダーで逃げ切り、念願のツアー2勝目を大舞台で手にした。昨年6月の初優勝以降、自分のゴルフを見失っていた原を奮起させたのは“2勝目の壁”を軽々と乗り越えていく後輩たちだった――。

 2位に4打リードでスタートした原が一度もその差を詰めさせることなく、圧巻のプレーで逃げ切りVを果たした。同じ最終組で回る2位の小祝さくら(22=ニトリ)が11番から連続バーディーと追撃態勢に入ったのに対し、原はその11番から3連続バーディー。「今日一番シビれました」と中でも12番のバーディーパットを振り返った。

 師匠のジャンボこと尾崎将司(73=I.S.T)から何度も言われてきたのが2勝目。ゴルフ界では「1勝は勢い、2勝して本物」といったことがよく言われる。未勝利と1勝と同じぐらい、1勝と2勝には大きな差があるというわけだ。

 そんな中で、直前の「デサントレディース東海クラシック」(9月)では2歳下のミレニアム世代、古江彩佳(20)が昨年11月のアマチュアVに続く2勝目を挙げた。原が初優勝した昨年6月の「リゾートトラストレディス」では3位でローアマを獲得した選手だ。

「表彰式で一緒に写真を撮った古江ちゃんが先に2勝目を挙げて、私も頑張らなきゃと思いました。(このタイミングは)感慨深いですね」

 今季は同じジャンボに師事する笹生優花(19=ICTSI)も初優勝からの2連勝を飾り、壁など感じさせないままに2勝目に到達。こちらも原にとっては刺激になっていたようだ。

 初優勝以降、原が陥っていたのは安定志向。コンスタントに上位にいきたいという思いから、気持ちが攻めよりも守りに傾いた。今大会では本来の攻めのゴルフを取り戻すため、3Wをバッグに入れた。「今回のクラブセッティングは良かったと思います。3Wを入れたことでパー5でバーディーを取れるという自信が持てました」。最終日も3バーディーを奪うなど、4日間で10アンダーと狙い通りにパー5でスコアを大きく伸ばした。

 有力選手が揃う黄金世代の中でトップを走ってきたわけではない。「ジュニアのころは成績が出なくて、勝みなみちゃんや(畑岡)奈紗ちゃんが勝つのをすごいなあと思って見ていた立場。今も差はあると思うけど、強い気持ちを持っていれば、上に来られるんだと実感しました」。黄金世代の国内メジャー制覇は畑岡奈紗(21=アビームコンサルティング)、渋野日向子(21=サントリー)に続いて3人目。一気に世代の中のトップランナーの一人に躍り出た。

 この優勝で3年シードを手にし、視線は海外にも向かう。「海外で戦いたい気持ちはあるので、じっくり考えます。悩む材料があるのがうれしいですね」。これからは海外での実績でも畑岡、渋野を追いかけていく。