ツアー開幕のメドはたたず…。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長(57)は定時社員総会(30日)後に、トーナメント開催について「ハードルが高い」と厳しい見通しを示した。国内ツアー「スタジオアリス女子オープン」(4月10日開幕)も中止となったように毎週1試合ずつ発表され、すでに6試合が消滅。渋野日向子(21=サントリー)ら選手たちは先の見えない苦しい時間を過ごしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大がスポーツ界に影響を与える中、プロ野球やJリーグが期間を区切って公式戦を延期したのに対し、女子ゴルフは1試合ごとに中止を発表。

 渋野はホステス大会の「Tポイント×ENEOS」が中止になった際「また皆さまに笑顔と元気を届けられるように、しっかり調整を続けたい」とのコメントを出したが、明確な目標を定められない状況だ。

 なかなか長期的なスケジュールや見通しを発表できない裏には、日本ゴルフ界特有の事情がある。小林会長は「早くお知らせしたいのはやまやまですが、日本のツアーは一つひとつの試合に主催者がいるのが特徴。私たちもできれば(試合を)やりたいと思っているので(判断が)ギリギリになっている」と説明。同じゴルフでも男女の米ツアーは一部の試合を除いて、ツアーが主催者となっており、数試合ごとに中止、延期を発表している。

 今後の試合についても主催者とJLPGAが話し合いながら開催可否の結論を出すが、小林会長は厳しい見解。早期に試合を実施したい一方で「人の健康と命にかかわる問題。お客さんを入れることを前提と考えると、現状ではハードルが高い」。明確には語らなかったが、冷静に事態を見極めながらも場合によっては無観客での“開幕”を見据えているようだ。

 直近では昨年、渋野がツアー初優勝した国内メジャー「ワールドレディスサロンパスカップ」(5月7日開幕、茨城)がJLPGAの主催大会。同じく主催者に名を連ねる日本テレビ、特別協賛の久光製薬と「リスクが最小限になるよう話し合って決めていきたい」と開催の可否についての明言を避けた。また、延期となった海外メジャー「ANAインスピレーション」(9月10日~)は、国内メジャー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」と日程が重複。同会長は「こういう状況なので試合ができることが大事。手を取り合ってやっていこうという話をした」と、米女子ツアーと協力体制を確認したという。

 いずれにしても、まだまださみだれ式の中止発表は続く見込み。選手たちにとっては先が見通せない日々が続きそうだ。